いちビジネスパーソンとして、私も日々、仕事で煮詰まることがよくあります。今日は、お仲間のビジネスパーソンに向けて、「英語の翻訳者でビジネススクール出身者の私は煮詰まったときにこんなことしてますよ」ということを書いてみます。
Q) プレゼン資料を英語で作成するさい、煮詰まるときがあります。
A) 私からは3つ、おすすめの解決策があります。論文執筆にも使えますよ。
1) 英語や数字や構成を離れてみる。
2) 「感情」「感想」を書いてみる。
3) やさしい言い回しを探してみる。
昨日は下の記事を書きました。
●ビジネスパーソンが英語での仕事に煮詰まったとき。おすすめの解決策は3つ。
煮詰まるときのいちばん大きなものは「英語のことば」そのものではないですか?それとも「数字」でしょうか?「構成」でしょうか?
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【具体策】
1) 英語や数字や構成を離れてみる。
2) 「感情」「感想」を書いてみる。
3) やさしい言い回しを探してみる。
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1)の「英語や数字、構成を離れてみる」というのは、たとえばご自身が書き進められるところをブレストのようにひたすら書き出すというやりかたです。
もちろん、プレゼンや企画書、ましてや論文となると、英語の内容はもちろんのこと、数字や構成はとても大切です。でも、重要度が高いからとそれにとらわれて「筆」がとまってしまうと、せっかくの考えの流れも停滞してひまいます。この考えの流れの中には、ひらめきや独自性などもふくまれているのでなおさらです。
私が米国大学の学生だったとき、必修科目として履修したWritingのクラスでも「筆が止まらないようにするにはどうするか」という課題がありました。
それによると、「とにかく、自分の意識の中に流れてくるものをひたすらドラフトとして書き出す」と良いのだそうです。そうすると考えの流れがとまらずに書き出せる。
これを習ってから、私は自分で文章を書く時や仕事でも「煮詰まりそうだな」「筆が止まりそうだな」と感じるときはいつも、ドラフトのようにとにかく書き出すようにしています。てにおはなどは後でいくらでも直せますし、数字や構成もいくらでも修正できます。
やりかたとしては、
a) とにかく筆をとめないこと。
b) ご自身が書きやすい文体で。
c) 自分が書き進められる部分から手を付ける。
d) 書き終わったら英単語や慣用句、数字、構成を確認。
書き進められるところには、自分の意見であったり、事実を描写するところであったり、あるいは具体例や先行研究に関することかもしれません。
この時のコツは、「制限を設けない」というです。「こういう中学生みたいな文体は書かない、あれは書いてはいけない。これは論理的ではない」とか、そういう制限です。それらはあとでいくらでも推敲・修正できます。あとから数字を探してきて論理性を裏付けることも可能です。
いちばんネックとなるのは、「考えが滞ってしまうこと」。会議でもそうですよね。だれからも意見やアイデアがでなくなってしまって、無駄に時間が過ぎていく。すこしくらい文章がおかしくても、考えの流れを止めないことが重要です。
つまり、物を書いたりプレゼン資料を作ったり企画したりすることはとてもクリエイティブな作業。そしてクリエイティビティとは立ち止まらずに「考えの流れ」を動かすことを基本としています。
2) の「感情や感想を書いてみる」とは、ビジネススクールに通っていた時に理系の友人から受けたアドバイスを逆手にとった私の解決策です。
企業分析をするクラスを受講したさい、アナリストレポートを作成したのですが、私はその理系の博士号を有する友人から、「感想を書いちゃだめだよ」とアドバイスを受けました。もちろん彼は、すでに博士号を有しているひとですので、数字を基にした分析をしたほうがいい、と言ってくれたのだと思います。
でも、「レポート」はレポートです。レポートする人間が現場で実際に感じたこと、感想はときに、読み手を引き込みます。読み手も機械じゃない。感情や想いを抱いた人間です。「口コミレビューサイト」がよい例でしょう。おもわず引き込まれて、「なるほどねぇ」と購入しようかどうしようかと影響を受けることってありますよね。
感想や感情は人間としての自分の根幹にかかわることです。だから、ここに意識を深く向けると、おもわぬ文章や企画が飛び出すことがあります。
朝から晩まで、クラシック音楽やJazz、瞑想音楽、ロック、ダンスミュージックなどを聴きながら仕事をしている私などは、「感情」や「想い」が川のように流れています。頭のなかに。もちそん、そのほとんどはとても心地よいもので、たぶん、α波かシータ波が脳波として出ていると思います。ひらめきや独創性に必要と言われる脳波です。
もし数学的な論理性、つまり定量分析が必要であれば、定性分析である「感想や感情」をもとに、自分がどんなことに興味を感じていたのか、どんな発見をしたのか、どんな新規性あることをみつけたのか、を探ってからでも遅くはありません。
3) やさしい言い回しを考える、とは、辞書を利用しなくてもそのときに自分の頭の中にすでにある英語をすべて利用する、ということです。
以前もブログで書きましたが、辞書をもちいると、そのときに意識の流れが止まります。アイデアが泉のように流れていたのに、「辞書」という物質世界にふれたとたん、その流れが部ちぎれることがある。
さきほどから書いているように、「煮詰まらずによい仕事をする」ことがこれら3つの具体策の目的です。内容にふさわしい言い回しはあとからいくらでも探せます。
まずは、「こんなことを考えている」ということを文字にする。それが、「自分の持てる英語のなかからひろって仕事をすすめる」ことになります。
●本当に煮詰まってしまったとき。Steve Jobsもしたとされる「マインドフルネス」で。
状況によってはどうしても煮詰まってしまうということがあるかもしれません。納期がタイトで焦りに焦って、上記1-3)の具体案も気持ちに押されてうまく働かず。
そういうときはぜひ、マインドフルネスを実践してみてください。
企業研修としてすでに取り入れられているところもありますよね。でもよくやり方がわからない、というかたもおられるかもしれません。
“Mindfulness”と聞くと私はイメージとして、丸い風船のような球体の中に、「心や意識」がたくさんぱんぱんに詰まっている様子が瞬時に思い浮かびます。頭はからっぽで、不安も、先の心配も、すべては球体の外。
どこででもできますので、もし「煮詰まってしまってしょうがない」というときはぜひ、ためしてみてください。だまされたと思って。
これでどれだけひらめきと直感、安心感が降ってきたことか。感謝。
a) 自分の「いま」の意識をすべて、目の前で見えていることに向けます。電車に乗っていれば、外の景色や車内の広告、音、光など。流れてくる意識は無理して止める必要はありません。流れるままに。
b) おなかがへっこむことを意識して息を吐いてから、今度はおなかのなかに息を吹き込むようなイメージで腹式呼吸をします。ゆっくりと、深く。呼吸に意識が向かないようなら、呼吸そのものをカウントします。いち、に、さん、し、と。
c) 呼吸が整ってきたら、目線は1メートルぐらい先に落とします。光の加減や音に惑わされるようなら、目を閉じてもいいですね。
d) 好きな瞑想曲やクラシック音楽やJazzなどを利用しても効果的です。私の経験から、インストルメンタルがおすすめです。ボーカルが入っていると、歌詞の意味に意識がとらわれたりするからです。
e) できればa)-d)の間に、「感謝 (gratitude)」や「自分が与えられた才能 (the Gifts)」などに意識を向けます(宗教がかってていやだ、というかたもおられるかもしれません。このあたりはa)からd)をすることがご自身のなかでとても心地よいものと感じられたかたでよいと思います)→
→「感謝」や「自分の才能」に意識を向ける理由は、自分がいま、持てるものを最大限に生かすことと、そこからさらにおもわぬ力を発揮させるためです。人のもつ潜在能力のすごさは、スポーツ選手を見ればよくわかりますよね。ここぞというときに、大会新記録を出したりさよならホームランを放ったり。