転職して一流のコンサルになるなら、傘は忘れるな。

浜松町のビル

今日はまたもや、若きビジネスパーソンたちのやりとりを聞いていて思ったことを、私の実体験や友人ビジネスパーソンたちの話と合わせて書いていきます。

Q) 今の仕事を辞めたいです。コンサルにすごく興味があるのですが。

A) 私の友人知人たちにもベテランコンサル(上席クラス)がいます。彼らの話と「翻訳コンサル」としての私の長年の経験も織り交ぜていろいろお話しますね。

昨日は下の記事を書きました。

●20代の若者が転職して一流のコンサルになりたいなら、まずは身の回りに細心の注意を払うべし。

Shinjuku

 

映画やブロードウエイの舞台にもなったジェームズ・M・ケインの小説「郵便配達は二度ベルを鳴らす」(The Postman Always Rings Twice)みたいな今日のタイトルですが(笑)、またもやカフェで聞こえてきた、隣の若者ビジネスパーソンたちの話が興味深かったので、それについて私が思うことを書いていきます。

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話を聞いているとどうも、つい最近、会社を辞めた先輩(20代・男)に対して、入社,2,3年目の後輩(女)が、「(会社ではご挨拶できなかったので)お世話になりました」とお別れの品を手に、ゆっくり話をしにきた、という状況だったようです。

名曲喫茶「ライオン」のコーヒー

「まえから●●さんが辞めるって話はなんとなく聞いていたんですけど(挨拶できなくて)。理由はなんですか?」

「もう、文化が違うっていうのかな。俺は第二新卒で入った組だけど、入ってすぐに『あーここの文化、俺とは合わないな』って思った」

「そうなんですか。私もワンチャンですぐにでも転職したいって最近、思い始めて」

「うん。すぐに行動したほうがいいよ。無駄なことに時間を費やすのは機会ロスだから」

そして彼は、カバンから手書きノートを取り出します。そこには二日に一遍、彼が書きつけるという「仕事とは」「自分とは」「自分の強み」などなどが書かれているのだそうです。

(テレビドラマであればここでCMがはいります。大笑)

新宿南口

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二人の会話は、独りがパフェ、ひとりがパスタを食べ終わるのに十分な1時間ほどの間。最初は興味半分で聞いていた私も途中からなんだか、複雑な気分になってしまいました。先輩のほうがやけに「頭でっかち」なのです。申し訳ないんだけど。

なにより致命的だと思ったのは、自己完結してしまっている点。誰の意見も寄せ付けず、自分ひとりの世界で完結してしまっている。表現者だったらそれもまた面白い存ですが、彼はビジネスパーソン。そして、「文化が合わない」と否定しているわりに、自分の強烈な表現世界があるわけでもない。

Yayoi Kusama

「こいつ●●ついてんのかな」と私はえらい憤りすら感じましたね。40代のスーパー「おっちゃん」起業家たちのほうがよっぽど元気。「宇宙行きたい」とか「この年でもまだ英語頑張るぞ」とか言っちゃう。クサい飯食ったのもいるし。

この若さでこれだと、将来はかなり空回りすることになると思います。頭の中で完結してしまってるから。つまり、脳化の典型だから。脳化の象徴である「AI」などの最先端技術の進歩によって、脳化人間は簡単にとってかわられるから。

そら

しかも、左手には結婚指輪。彼、言ってるわりには中年になるころにはふつうの「おっさん会社員」になりかねないんじゃないかな。家庭があると仕事選びも妻との共同作業。子どもができるとさらに保守的な生活にならざるをえない。

20代の若者って、こんなに頭でっかちで自己完結してたっけ・・・?

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たとえば。以下、長文。

「経理はやめといたほうがいい。今後、機械にとってかわられる(といってるお前さんがいちばん、とってかわられるよ、と言いたくなりました)。いま求められているのは分析能力。コンサル業が一番面白い。コンサルは掛け算の世界。そしてつねに頭を使って考えていないといけない人間。たとえば、ここの店のことを考えてごらん。いまこうして皿をさげた人間に、『どうしていま、皿を下げましたか?』と聞くと、『そういうふうに決まってるから』と答えるはず。それじゃぁだめ。コンサル会社も面接で深く考えることを質問してくる。『慢性的な首都圏のラッシュを解決する方法は?」とか(出勤をやめればいいんだよ。Remote workとかNomadになってさ。あたしみたいに)。第二新卒だからとにかくフォーカスする。どこまでOKか。コンサルにもいろいろある。人事コンサルとかwebコンサルとか。でも仕事として面白いのは戦略系とか経営系コンサル。うんぬんかんぬん」

スコットランド

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いま求められている能力は「分析能力」とのことだけれど、私に言わせると、分析能力こそAIにとってかわられます。しかも、分析能力くらいアカデミックな世界が得意とする分野もない。だから、私が通って学位を取得したビジネススクールには分析能力にたけた連中がうじゃうじゃいるわけです。

戦略コンサルとか経営コンサルとかやるなら、MBAくらいはとっとかないと、つらい。あるいはそれに匹敵するたぐいまれな経験

ようするに、彼らの言いたいことは昔ながらのこういうことだとつくづく感じました。

「日本の会社員は『就職』ではなく『就社』ということ」

でもしょうがないっちゃぁしょうがないんですよね。大卒ですぐに会社員になったのだろうし、20代なら経験がとにかく少ない。だから、その経験の少なさを補うために、無意識に「頭」を使おうとする。分析にしてもそう、数字ですべてを語ろうとするのもそう。

(ここでまた、CMタイムです。テレビドラマなら)

うどん

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彼らが出ていってほどなくして、折り畳み傘が置き忘れられていることに従業員が気づきました。彼のです。「あ、追いかけます」、と従業員。うーん。やっぱ頭でっかち。

一流のコンサルになりたいなら、まずは自分の身の回りのことにマインドフルネスで徹底的に注意を払ってみよう!と、私は切実に言いたくなりました。一流のコンサルには、1)地頭よく、2)状況を鋭く把握する能力、が求められるからです。

すばしっこさや動体視力の良さ、そして私が何度も述べている「立ち回りの良さ、要領の良さ、快活さ」としてもいい。

●一流のコンサルになるために。

アンダス虎ノ門
Andaz, Toranomon, Tokyo (photo by Kay Koyama)

私もひとりのコンサルです。そして私には大手企業に勤める上席コンサルタントなど、コンサル業をする友人知人がおります。だからこそ、コンサルを自分の「天職に」と思ったり、コンサル業に興味を感じている若い人には、次のようなことをお伝えしたい。

 

1) 営業力を身につける。

2) 経験のある年上からたくさん話を聞く。

3) 考えるよりさきに、体を動かす。

4) 「かわいげ」を身につける。

5) 多くの人を魅了する「魔力(強力なオーラ)」を身につける。

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銀座晴海通り

1) 営業力を身につける。「あんた、口ばっかりで仕事持ってこないね。いらないよあんた」とクライアントから言われないために。クライアントから仕事を「請け負う」のではなく、クライアントに仕事を「紹介する」くらいのパワフルな営業力が必要です。

良い人脈を紹介することも大切。

2)20代の若さで自分の世界で完結してしまうのではなく、コンサルになりたいのなら、経験豊富な一流の先輩ビジネスパーソンたちからたくさん、話を聞かなければなりません。まっさらになって。なぜなら、自己完結してしまうと、いっさい成長しなくなるから。

銀座の服部

一流のビジネスパーソンやその業界で秀でた人にはやっぱり、ものすごい経験と、そこから自分で導いた哲学や知恵があります。お金では決して買えない金脈、としてもいい。

若い人ほどそういう人たちから、話を聞かない手はない。自分の肥やしになりますよ。コンサル先に出向くときにsmall talkとなってくれたり、自分の引き出しになりますので。

話を聴いてるうちに、「うちにおいでよ。コンサルとして」というヘッドハントだってありえるんですよ。

竹下通り

3) 頭でっかちに「あーでもないこーでもない」というより先に、行動することを若いうちからクセつけたほうがいい。若いうちにこれができないと、体が動かない中年以降にはますます行動できなくなるから。物理的・心理的な「かせ」も多くなりますし。

フットワークはとにかく軽く。私の昔からの座右の銘であり、そして友人知人たちは本当にそう言って私を褒めてくれます。この点は自慢したい。

路上駐輪

4)「かわいげを身につける」。多くの若者が見落としがちな点です。かわいげとは人の話を素直にきいたり、聞いたことをよい方向に本当に実行したり、つねにあらゆることに対して「感謝」「謙虚さ」を忘れないことです。明るい表情とか声に張りがあること、なんかも含まれるのです。かわいげ、には。

Granny Smith

5) 「強力なオーラ」は一朝一夕では身に付きませんが、Lady Gagaのように20代のころから強烈なオーラを放つ人もいるわけです。人が離さない魅力。だからたとえ若者であってもこれを身に着けることは不可能なことでは決してありません。理由は以下のとおりです。

★人がついてくる。だからクライアント先にも紹介できる一流の人脈ができる。

★下がついてくる。だから仕事がさらにはかどる。仕事は人があってできるもの。たとえフリーランスでも取引先がいたり、アフィリであればクリックしたり購入してくれたりする「人」がいるわけです。

ハイアット箱根の絵

えらく若い人間が50代60代の人間に「あれしろ、これしろ、こうしたほうがいい」と指図するのは、はたから見ていても気持ちいいものじゃないです。その50代60代がよっぽど仕事ができないならいざしらず。

横浜港

だからともするとコンサルって見下される偉そうに言ってるだけでカネ(販路や優良なVCの紹介など)も仕事(収益性の高い仕事の紹介)もニンゲン(人脈)も持ってこないと。いまは起業家をされているかたのなかにも、かつてはコンサルだった人がたくさんいます。彼らが「自分で事業を興して動き回ったほうが面白い」と話しておられるのを聞いたことがあります。私もとても共感しました。

 

今日は若者への叱咤激励となりました。また書きます。

頭でっかっちになるんじゃなくって、Stay hungry, stay foolish!