「働き方改革」について。もと銀行員で長年のノマド・リモートワーク実践者の私が初めて向きあって書いてみます。

今日は本当は「ホンモノになる。国内外の名門ゴルフ場について」と題して記事を書いていましたが、蚊帳の内側から「働きかた改革」、という声が私の耳にも聞こえてきて数か月がたったこともあり、蚊帳の外にいる私は「働きかた改革」という言葉に向き合ったことはほとんどありませんが、今日は初めて、正面から向き合って書いてみようと思いたちました。すでに何十年もまえに実践している私がブログで書くことで「机上の空論」ではないと思っていただれば幸いです。書く予定だった「ホンモノになる、国内外の名門ゴルフ場についてPart 2」は、また明日以降にじっくり、書きます。

Q) 「わが社」で働き方改革を始めています。なかなかうまくいきません。

A) 「大」、がつく日系企業ほど難しいと思います。正直申し上げて。東証一部上場の信託銀行に正社員として勤めたもと銀行員であり、現在は会社経営者としてノマドとリモートワークを長年実践している私が思うことを書いていきます。

●「働き方改革」について、もと銀行員の私が思うこと。

大手町のビル群

厚生労働省の定義や目的をかみ砕くと、「ひとりひとりの個人が幸せに豊かに生きるために、はたらくということを人生のなかでより柔軟性あるものにしましょう」というのが彼らの掲げる「働き方改革」ということなのかな、と思います。

働き方改革、といっても、よくよく見てみると、かなり多岐にわたることがわかります。そこで今日は、「リモートワーク・ノマドワークを実践する」ということについて書いてみます。

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若い人のブログやTwitter等を見ていて、気持ちはすごくよくわかるのですが、「(サラ)リーマンの通勤風景が異常」みたいな批判をして終わってしまうかたがいます。

「どうして変えないの?」と。

若い。笑 

通勤されているかたの多くはおそらく、変えたくても「上(経営層)が動かない」とか「介護している親が郊外に住んでいて、この電車を使わないと仕事に行けない」とか、今現在、なにか事情を抱えていることも多いんだと思います。

現実的なこととして、情報は首都圏、都市部に集まってきます。私の知り合いなども地方の研究機関に通ってますが、「やっぱり東京周辺にいないと情報が入ってこない」と言います。「情報」の中身もさまざまですが、学会発表、講演会、新しい小売業態なども首都圏・都市部で行われますよね。だから、人もそこに集まりやすい。

東急による「渋谷スクランブルスクエア」。Shibuya Scramble Square developed by Tokyu.

地方に住んで「情報」が自律的に取れる人は、リモートワーク・ノマドワーカーだと思います。つまり、私を含めて、ネットで仕事をして(そうなるようなビジネスモデルを自分で構築して)、最先端の機器を利用している。上記の私の知り合いのように、ネットはメールぐらいです、という研究職の人間には、リモートワーク・ノマドワーカーになるのは難しいと思います。ご本人にその意思がないかぎり。

フレキシブルな出勤時間、といっても、号令かけてる役所自体が9時5時の仕事ですよね。笑 「本日の窓口は終了しました」なんて味気ない音声が午後の5時以降に電話口で流れたりする。税金で食べてる、という思いがあるからでしょうか。市民が働くのと(動き始めるのと)同じ時間帯で窓口を開けとかないといけない、とか。もちろん、残業なんかできない。血税使いますから。

そら

私のように自分ひとりでえいやと動いてしまう人間は、とうの昔に「通勤」というものから卒業してますが、新卒で3年間、東証一部上場の信託銀行正社員の銀行員として勤めていた経験が私にはあります。だから、「変えればいいのに」、と若者が言うのはわりと、日本の大企業の内情がわからないからなんだろうなぁ、と思ったり。

新宿南口

もうひとつの現実的なこととして。上記でも少し触れましたが、日本は会社に限らず、決まり事、しきたり、社会慣習が多い。そして、年功序列制です。

会社員だけの話じゃないですよ。

中学高校大学の部活をみたらわかりますよね。先輩後輩の序列の厳しさ。とくに体育会系。青学駅伝チームの「ちゃらさ(?笑)」は体育会系の部活のなかでも珍しいんじゃないかな。下が上にもの言うなんて。「●●さんそれは違うっすよ」と。私そっくり。大笑

だから、どんなに下が「こうしたい」「ここをこう変えたい」と思っても、上が動かないかぎり、下はそれに従わざるをえない。学生の部活で考えたらわかると思います。下手するとパージされたりいじめにあったりする。それも、陰湿ないじめ

いじめは大人の世界のほうが陰湿かもしれない。経験からそう思います。

そら

★日本はトップが動かないと下は動けない。下は「動かない」、のではなく動きたくても大企業ほど会社のずーたいでかくて、下の力だけではどうにも動けないのだと思います。体質が古ければ古いほど、そんなことすればパワハラ受ける可能性だってあります。その力学をまずは認識しておくことが前提だと思います。「働き方改革」には。

★働く時間をフレキシブルにしたりリモートワークやノマド生活を本当に実現させる必要がある人は、膨大なエネルギーと時間を使って会社を変えようとするのではなく、思い切って個人として飛び出すほうが、最終的にはその目的は叶いやすいです。私の経験です。

●具体的にどのような方策でいくと「遅々として進まぬ」が「なんとなく進み始める」になるだろうか。

大手町のビル群

平たく言って、「古い体質」というものがいまだ存在している企業や業界に働き掛けるのは、かなり至難のわざです。相手のずーたいがでかければでかいほど。

上記の通り、個人の膨大なエネルギーと時間が費やされるからです。一生が終わってしまうことだって考えられる。

それは不毛です。

国や組織が「働き方をかえましょう」とリモートワーク・ノマド生活を推奨するのであれば、それが実現しやすい柔軟性のある企業や業界をまずは取捨選択する必要があると思います。

やみくもに連呼するのではなく。

品川のブルーボトルコーヒーにて。バリスタさんにおもわず、「お上手ですね!」と声をかけたら、はにかんだように喜んでくださいました。Blue Bottle Coffee’s in Shinagawa, Tokyo (photo by Kay Koyama)

可能性があり働きかける順番。

★ばりばりベンチャー(といっても、もとから柔軟性ある働き方の企業が多いけれど)

★外資ベンチャー(老舗外資は日系企業とかわりません。マネジメント層は鼠色のスーツ着たおっちゃん連中だし)

★すでに老舗の大企業の格でも、創業者のベンチャースピリットが随所に残っている企業。たとえばSony、ホンダ、リクルートなど。

★しいて言えば、「業界インフルエンサー」とでも呼ぶべき、影響力の大きな企業や組織に積極的に動いてもらう。

働きかけに相当の忍耐と時間がかかるであろう業界の例:

★建設業、金融業(銀行、日系証券)

*女性のお茶くみがいまだ奨励されているところもあるようです。女性社員が「女子」とか「女の子」と呼ばれる会社・業界。男性社員も「男子」「男の子」と呼ばれてるならいざしらず。

★古くから大企業の代名詞となってしまっているような企業

「えっあの大企業に勤めてるの?すごい・・・」

★もしかすると、M&Aを繰り返している日系企業も大変かもしれません。