企業という組織におけるテレワーク・リモートワーク(2) 小山ケイ Japanese companies and organizations in this/post COVID-19 era

Google Japan in Shibuya, Tokyo

今日の記事では、約20年間「在宅ワーク」をしている私が「企業という組織におけるテレワーク・リモートワーク」について書いてみます。

<もくじ>
●企業という組織におけるテレワーク・リモートワークについて。
●保守的な業界・企業でのテレワークについて。

このブログ「小山ケイ:Feel this precious moment」はいくつかのカテゴリーに分かれています。今日の記事は「新しい生活様式・仕事形態に向けて」のカテゴリーで書きました。働き方改革やリモートワーク・ノマドについて私が思うことについては以前、下の記事で書きました。

●企業という組織におけるテレワーク・リモートワークについて。

[the_ad id=”11588″]

以前私はこのブログで「テレワークが推進できる企業や業界がある一方で、それが一筋縄ではいかない企業・業界がある」と書きました。

前者の代表例がITベンチャーはもちろんのこと(もともと柔軟なワークスタイルの企業が多いからです)、創業者のベンチャースピリットがいまでも随所に生きているような大手日系企業(Sonyやホンダ、リクルート社など)であり、後者の代表例は私が新卒で入社した銀行や、あるいは建設業界が挙げられると思います。

前者のような企業では組織として試行錯誤やトライアンドエラーを歓迎する土壌がすでにあることや、それらをデータとして蓄積するようなシステムすら存在している場合があります。

そのいっぽうで、後者のような保守的な雰囲気があり、わりと他業界の様子を見ながら追随することがよしとされている業界では、これまでほとんど行われてこなかった「テレワーク」の導入は、まさに水から飛び降りるようなもでしょう。

今日は記事の前半部分で、私の友人知人たちが勤めるような一般的と思われる企業でのテレワーク導入のストーリーを考え、後半では私の古巣である「銀行業界がテレワークを導入するシナリオ」について考えてみたいと思います。

**********************************************

私が母校青山学院に社会人として再入学したビジネススクールには外資系企業からの入学者も多かったですが、日系企業でも一般的な大手・中小企業のかたが多かったと記憶しています。

aoyama business school

そんな彼らが通勤を止めてテレワークを中心にした場合、どんなことが起こるのか。考えてみました。

★会議がオンラインになる(縦ぐし)

★社内SNS、チャットを利用する機会が増える(横ぐし)

★ビジネススクール仲間のSNSを利用して、動向をさぐったり、相談したりする機会が増える(横ぐし)

★「息抜き」として学生時代の友人や趣味の友人たちとのオンライン上のやりとりが増える(横ぐし)

★電話をはじめとする音声でのやり取りが増える(横ぐし)

★宅配業者を利用することによる大量のハード資料をやりとり(縦ぐし)

★Faxの多用(縦ぐし)

大手町のビル

******************************

上記はほんの一例ですが、これまでの出勤ワーク以上に、音声、オンライン上のテキスト、郵送・宅配、動画、映像によるハード・ソフトデータのやりとりが増えます。

急ぎの仕事であればバイク便を利用することもあるでしょう。

また、出勤組と在宅組とに分かれるのであれば、双方のやりとりも考えられます。

さらに、私は「縦ぐしと横ぐし」として表現しましたが、テレワーク組(全社であろうと一部であろうと)は出勤ワークのときとはまた違う悩みやストレス、不自由さが発生します。それに合わせて、上司を交えた「縦ぐし」と他部署の仲間や他社の友人・知人を交えた「横ぐし」を臨機応変に利用することが求められるように思います。

PAUL新宿南口店

出勤していたころは、日本企業の組織社会のつねとして、役職者とそのほかの社員が物理的にほぼひとつのフロアで働いていたため、悩みや問題もフロア内で解決していたといえます。

けれど、テレワークでは物理的に体は「家」にありながら、アタマや意識はネットのなかを行き来したり、「声」は電話などの通信機器を利用して相手に届けられることもある。

銀座のビル

つまり、ひとつの企業に所属する同じ会社の人間であっても、物理的には離れているためにその人の時間や意識、姿、声、そして気持ちすらも、あらゆる手段や空間によって行き来しながら「仕事」というひとつの目的を達することになる時代になったと言えるのではないでしょうか。

さくらの木

これまで出勤していた時間にパソコンのまえに座って仕事を始めることは決して当たり前のことではありません。家にいれば家にいるなりの事情が発生します。

聴こえてくる音もそれぞれ違うことが考えられます(ゴミ収集車の音だったり、うぐいすの鳴き声だったり、飛行機の音だったり、乳児の鳴き声だったり)。

さくら

「いっせーのせ」で同じ場所に全員が9時5時で出勤・退勤していた出勤ワークとは違い、「企業の新しい働き方」であるテレワークでは、まずはそれぞれがいる環境そのものが異なる、という視点からはじめることが大切だと思います。

Wi-fiの「アンテナ」が4本立っているところで仕事ができる人ばかりではない。→ かならずしもみんながオンライン会議で「全員集合!」できるわけではない。

◆大通りに面した家に住んでいるため、昼間は騒音がする環境で身を置かざるを得ない人もいる。→ 夜の静かなときのほうが仕事の効率が良い人もいるかもしれません。

小さな子供さんがたくさんいるご家庭であれば、仕事中も部屋にどうしても入ってきてしまうこともある。

◆これまで新幹線通勤をしていたような地方に住んでいるため、バイク便は利用できない。

◆たまたま建設ラッシュの住宅街に住んでいる人もいる。昼間はトンカントンカン、音がしている。

家で介護している親が、PCのキーボードの音を嫌がる。あるいは電話の話し声を嫌がる。→ 親が寝るころに仕事を始めたほうが良い場合もあるかもしれません。スマホでのテキストのやり取りになることも考えられます。

●保守的な業界・企業によるテレワーク。

大手町のビル群

人との接触をさけることを目的として銀行業界が出勤スタイルを変えるということを考えてみました。

本社や内勤は一般企業の業務と共通点も多いのですが、銀行は接客業の側面も有しています。そのため顧客との接点である「窓口」業務をいかに減らしていくか、ということと、前例のないような大胆なやり方を率先してやることの少ない業界であるがゆえに、その体質改善と問題意識の持ち方が大きなカギを握ると思います。

渋谷

顧客からコールセンターへの問い合わせを転送する(オペレーターを在宅ワークにする)→ テレワーク、ではありませんが、たとえば米国企業は自社のコールセンターをインドに設置したりします。その発想と同じかもしれません。

ここ最近、金融企業のコールセンターに電話する機会があったのですが、音声ガイダンスで「コロナウイルス感染防止のため、営業時間を変更しております」「つながりにいくい状況となっております」と流れます。途中、転送されているような音がしたりもします(ツツツ、ツツツという音)。自宅にいるオペレーターに転送されているのかな、と思いました。

高層ビル

郵送やwebによる問い合わせの推奨→ ネットバンキングやオンライン上で決済する人もこれまでたくさんおられました。それが加速していくこととなるのでしょう。

年功序列がいまだ色濃く残る日系銀行において、トップ(ほぼ男性)が率先して「新しい働き方」を推し進める。→ 社員の命を守るため。社員ひとりひとりがよりよい生活を送れるよう。

★出勤ワークであっても、Social Distancingに配慮した配置と動線を導入する。

★いまこそ大胆な「時差出勤」の導入。

[the_ad id=”11588″]