今日の記事では、翻訳・通訳をするばあいに外注するか内部で処理するかの基準について、日本の企業に向けて書いています。
<もくじ>
●日本の企業が外部に翻訳・通訳を頼むべきもの・社内でできるものについて。10年ほどまえにある企業とやりとりした例。
●では実際にどんなことを外注するか。内部ではどんなことをするか。
このブログ「小山ケイ:Feel this precious moment」はいくつかのカテゴリーに分かれています。今日は「英語(潜在意識を味方につけて)」のカテゴリーで書きました。同じカテゴリーで前回書いた記事は下からごらんになれます。
●日本の企業が外部に翻訳・通訳を頼むべきもの・社内でできるものについて。10年ほどまえにある企業とやりとりした例。
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翻訳会社を創業して早、15年以上の月日が流れました。
今日はこの15年に渡る経験から、「日本企業が外部翻訳・通訳を頼る(利用)したほうがいいもの・しなくても大丈夫だと思われるもの」について書いていきたいと思います。
外注にしようか、内部でやろうか、迷っておられるビジネスパーソンのお役に立つことを願って。
以前、このブログでも書いたことがありますが、ある大手東証一部上場企業のIR関連の翻訳を大手広告代理店と一緒に請け負ったことがあります。
そのときに、先方のIR部門に必要なのは「翻訳」ではなく、会社の顔であるIRについて一緒に仕事をする専門コンサルティングファームがまずは必要だと感じました。
理由は以下の3つです。
1) 社内で統一された辞書(コーパス)が存在しない。
2) IRはいまや、経営の根幹にかかわる重要部署である。
3) 先方のIR担当者が望んでいたのは「翻訳」ではなく、完全に別の「企業の世界観」すらをも表現する英文(意訳・テクニカルライティングに匹敵するもの。あるいはそれ以上のcreative writing)であることが、こちらからのヒアリングによって浮き彫りになった。
「外部に翻訳を依頼する」ことにどうも慣れていなかったようで、「御社に翻訳していただいた内容を拝見して、できれば某大手飲料企業Kの英文websiteみたいに、いろいろな主語を使いながら、あんなふうに修正していただきたいです」と某世界企業(本社は東京中野区)を引き合いにだしてきました。
英国の投資ファンドである株主から突き上げにあうような、株主が世界中にいる大企業様です(午後ティー大好き>我)。
時効?なのでもう少しお話すると、このIR関連の案件でご一緒した東証一部上場企業様にまつわる話には後日談があります。その1年後にさきの広告会社担当者からなんと、「当時のこちらからの依頼の流れや、先方とのやりとりを覚えていますか?大変お手数ですが、思い出していただけませんか?」と突然、連絡がありました。
もちろん、すべて覚えていますし、記録もドラフトも成果物も弊社ではデジタルで残してあります。その旨をお伝えすると、その後も彼から何度か連絡が来ます(この間(かん)のやりとり、すべて無償)。
実際に依頼をした側から「当時の依頼の流れを思い出してほしい」と何度も言われるのは正直、とても腑に落ちない(「えっ、おたくのほうから依頼してきたのにそれを覚えてないのかいな???」という気持ちです。笑)思いがしたのですが、先方も大手企業であるがゆえに、担当者も各案件の詳細については記憶できなかったのかもしれません。
(でもさ、先様@大手東証一部上場IR部署のかたたちとゴルフにも行く仲なんだから、もうちょっと親身になって覚えてあげててもいんじゃネ?、と私の毒気が頭をもたげたことも事実です。大笑
意味不明だよね、男らの世界って)
雰囲気から、「その広告代理店は先様から1年前のやりとりについて突き上げにあっている」ことがうかがえました。
さらにです。先様の別の担当者から弊社へ直接連絡がありました。1年前にIRの「翻訳」についてやりとりしたかたとはちがうかたです。
「1年前に弊社のIR関連の翻訳をしてくださりありがとうございます。●●広告代理店とのやりとりを教えてくださいますか?そしてもし可能であれば、今後は御社と直接、やりとりさせていただいて、再びIRの翻訳をご依頼したいと思っております」
とメールには書かれてありました。内容から、先様の社内と代理店との間で錯綜・迷走していることがうかがえました。
ようするに「中抜き」です。
1年前のIR翻訳の案件以外にもその某大手広告代理店は先様とはずぶずぶ(?)のようで、先様の建物内に入ると、その広告代理店担当者はすれ違う人の多くと「あ、こんにちは。今日はあちらに行きます」とかなんとか挨拶するのです。
それゆえ私は、「IRの案件以外にもなにかトラブルがあって、『あの代理店はダメだ』みたいな話になったのかもしれない」と想像したのです。
(結局、そのお話はうやむやになって空中分解。笑)
●では実際にどんなことを外注するか。内部ではどんなことをするか。
世界企業との取引があったり、株主が世界中にいるような企業であれば、日本企業といえども社内で言語が統一された、英語訳・日本語訳用の辞書が作成されているのが普通です。
上記の大手企業Kとはお取引したことはありませんが、世界中に支店・子会社もある(大規模M&Aも繰り広げている)企業様なので、なかに翻訳部がおそらく存在しているのではないか、と思います(外注するとしても、外部付の翻訳部みたいなツーカーの企業がいる)。
大手製造業などはいまやフラット化しているのが常ですので、とにかく詳細にわたって部品から経営企画関連の言葉まで規定された辞書があります。
こういう辞書をお持ちの企業様であれば、たとえば内部での翻訳が時間的に難しい場合は外注されたりします。その統一言語集を外注先にも渡して。
なかで処理できる案件とはおそらく、つぎのようなことだと思います。
1) 簡単な翻訳・通訳(英文メール。翻訳通訳機械を使って意味を把握すればいいもの。英語に堪能な人がいる)。
2) 事細かに言語が統一された翻訳用辞書が存在する。
3) なかに翻訳部がある。
4) トップや担当者の専門性が非常に高く、少しのブロークンイングリッシュでも専門用語や気持ちで乗り切れる。
5) nativesレベルの社員がいる(あるいは英語圏の人間がいる)。
それゆえ、上記以外の案件で翻訳通訳が必要になった場合に、外注する企業様がおそらく多いと思われますし、そうされたほうが間違いはない、とこれまでの経験から思います。
i) 契約書のような法にかかわるもの。
ii) 分量が多く、社内だけでは対処しきれないもの。
iii) ネイティブチェックが必要なもの (proof-reading)。
iv) 意味を取り違えると国際問題に発展するような会議等の通訳。
*現・防衛相の河野太郎さんは米国Georgetown Univ.を卒業されていてnativeのような流ちょうな英語を話されますが、よく見ていると英語の通訳のかたがついているときがあります。聞き間違いや意味の取違いを防ぐためかな、と思ったりしました。
v) 外部に出す資料、とくにwebsiteのように半永久的に残り、その企業の「顔」ともいえる英文資料。→ たんなる「翻訳」というよりも、そのサイトなり資料なりを作成する段階から外部コンサルとして入って、なおかつクリエイティブな表現物(その企業の顔ですから)を作成するためです。
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