Poke「つっつく」 小山ケイの「言葉の思い出」

⚫︎Poke「つっつく」 小山ケイの「言葉の思い出」

米国オレゴン大学に留学していたころ、学部生がレポート(英語)の文書を無料で添削してくれるシステムがありました。

してくれるのは大学院生。そしてマンツーマン。おそらくわずかでも報酬は支払われていたはずですのでアルバイトのようなものかもしれません。英文学や英語学関係の研究科で研究する院生だったと記憶しています。私も何度もお世話になりました。そのときのことです。

あるとき、若い男の大学院生が担当でした。すでに何十年も前の話なのでどういう文書の添削をしてもらったのかは覚えてないのですが、それは何か大学院生にはうまく伝わらない内容のものだったようです。彼は尋ねてきました。

「ここってどういう意味?」

「これこれこういうことを言いたいのだけれど」

他の担当院生と比べて若干小柄で若く、私には学部生にすら見えた彼は私の横顔を覗いています。そしてしばし言葉をさぐるような一瞬があったあと、こう言いました。

“Poking?”

そしてつっつくようなしぐさ。右手の人差し指でつっつくマネをしながら。まさにAir poking,

なんとなく「人をからかってる」という否定的な意味合いで言っているのが分かったので、”No”と私。

ちがうんだ、そんなネガティブなことじゃなく、もっと別の次元の話で、、、。

何度か言葉をやりとりして、ようやく「言いたいこと」が分かってもらえたのですが、そのやりとりと若い大学院生のつっつく仕草がなんだかそれまでの院生たんとにはない無邪気な若さのようなものが表現されているようで、私は”Poke”という言葉を大学院生の表情とともにしっかり記憶に留めたのでした。

⚫︎Poking”の発音。

1 ポゥ

2 キン

3 「G」