●「別れ」にともなう人間の感情
先日、BBC radio 4の「Something Understood」を聴いていたら、おもしろい内容でしばし聞き入りました。英国を拠点とするPears Foundation のDirectorであり長年ユダヤ教や文化を研究してきたRabbi Shoshana Boyd Gelfand女史による「Saying Goodbye」というタイトルでした。
その日の放送で女史は、人は古来から別れに際して丁寧な儀式を行うことで、その痛みを和らげようとしてきたことや、臨死体験をした人が、すでに亡くなっているかたが枕元に表れる多くの体験談などに触れ、人と人、あるいは人と物(生き物)の別離には「感情」が伴うことをさまざまな角度から触れました。
たとえば、いまや世界的な超インフルエンサーである「こんまりさん」こと近藤麻理恵さん(“KonMari” organizing GURU)の物に対する考え方やその書籍についてもBoyd Gelfand女史は触れ、「かたづけの基本は、その物に対して自分がときめくかどうか(Spark joy)。
*おそらく、いまの日本人のなかで 1番のインフルエンサーはこんまりさんだと思います。SNSだの動画だので『自分はインフルエンサー』と言いいたがるかたを見かけますが、規模が違うって。笑)
ものの機能ではなく自分の「感情」を判断基準にしてそのものと「Saying goodbye」するかどうかを決めるというのがこんまりさんのメソッドであり、処分することに決めたものであっても、保有者の人生のなかで意味を与えてくれたのがそのものであるのだから、別れ際には心を込めて「ありがとう(Thank you)」といって別れをつげる方法(KonMari method)を紹介しています。
AIじゃこんなこと、できません。笑
女史のおっしゃる
“ending ritual”
“farewell is a painful moment”
“last few precious moment
before saying goodbye”
“death is the final moment”
“ceremonial rites”
“transition to the next stage (death)”
などの言葉が、
ひとつひとつ私の感情に共鳴して
とても納得しました。
面白かったです。
●人間の持つ無限の力は、感情と結びついている。
このプログラムを聴きながら、私はあらためて人間のもつ「感情のパワー」について考えました。以前Twitterに私は英語でこう書いたことがあります。
“Performing KonMari method, people probably recognize the power of emotions and feeling which tend to be ignored in this science-oriented AI society.”
(こんまりメソッドを実践することで、一般の人は人間が持つ感情や感覚というものの無限の力を再認識しているのだと思う。AIがやたらともてはやされることで、ともするとそれらが軽視されがちな今の世の中で)
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意識的であれ無意識であれ、人が持つ感情のパワーを大切にできるかたは、それを軽視しがちなかたよりもさまざまな力や才能を発揮したり、豊かな人生を歩んだり、人の心をつかんだりできると私は思っています。
感情がともなうことで、頭で考えずとも無意識の領域が働いてくれる「習慣」がまず生まれる。語学の勉強しかり、自転車の乗り方や水泳しかり、そして暗記もしかり。人の心をつかむために感情に根差した言葉を選んだり、感情を喚起する(それも良い感情)表情=笑顔、を相手に見せることができたり、効果的なボディタッチができたり、も感情のなせるわざです。
さらに、記憶に強く残るものは、自分が強い感情を抱いた経験であることが多いですよね。なんだか知らないけど、むしょうに腹が立った幼少期の記憶や、駄々をこねた記憶。嬉しかった記憶。
何に対してそんなに怒ったのか、原因はすっかり忘れているのに、自分の感情やその様子だけはしっかり覚えている。
私は2歳ごろに癇癪を起して、家族写真の撮影のときにわざと「目をつぶって写った」感情は、いまでもよく覚えています。何に対してそんなに腹がたったのかはまったく覚えていないのに。
他者のことも、強い感情を喚起された人のことはよく覚えているものです。反対に残念ながら記憶に残らない人は、お行儀のよい数字のられつや学者先生がいいそうな知識を披露されるかたや、あたりさわりのない平均的なことを言っている人。
笑いも、良い感情も、生まれないので、「印象が薄い」のです。カチンとくるようなことをいう人間や、やたら大声で自分の意見を平易な言葉で言っている人間(内容は皆無でも、声のデカさと態度のデカさが傲慢に見えつつもなんか話を聞いてしまうのですよ。なんでだろね???笑)のほうがそのときは腹が立っても、なんだか印象に残っていたりはしませんか?
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「人間と感情」は私のライフワークともいえる永遠のテーマです。
“Feel” this precious moment!
Kay Koyama (Japan)