●「裸のランチ」
1959年のウイリアム・バロウズ(William Burroughs)
による小説の映画化です。
私の大好きなクローネンバーグ監督
(David Cronenberg)作品で、
当時は楽しみにして映画館へ足を運びました。
あらすじがあるようでない映画。
とりとめのないような
ヤク中の人が見る幻覚症状のような
シーンもあります。
地球上には存在しない、
特殊効果でつくられた
グロテスクな生き物も登場します。
(こういう非日常的な「わけのわからなさ」が
私にとってのCronenberg監督の魅力です。
「戦慄の絆 (Dead Ringers)」もそう)
私の記憶のなかではときおり、
この映画と
コーエン兄弟の「バートン・フィンク」
(Barton Fink)」が
ごっちゃまぜになってしまいます。
それはきっと、
ジュディ・デイビスがどちらの映画にも
出ている、ということだけではなく、
映画がカフカの「変身」や
ノーベル賞受賞作家カズオ・イシグロ
(Kazuo Ishiguro)の
「充たされざる者 (Unconsoled)」のような
不条理性や「混沌(Chaos)」に類似しているように
私には感じられるからだと思います。
「おすすめ」していながら
あらすじのかじりすらご紹介できないのは
申し訳ないのですが(; ・`д・´)、
目だけが人間みたいな
体にイボがたくさんついた生き物が
体液をジャンキーたちに
吸われたり(という幻覚?)、
グロテスクな生き物のなかから突然、
ロイ・シャイダーが生き物の体を
引き裂いて現れたり(エイリアン?)、
迷宮みたいなわけのわからない場所に
入り込んだり(ブレードランナー?)、
とにかく不思議なSF映画(だと思う)です。
●出演者
主人公は「ロボコップ」のピーター・ウェラー。
(このかたは還暦すぎて博士号をとってらっしゃるんですね。
ソンケー・・)
オーストラリア女優のジュディ・デイビスや、
英国人俳優のジュリアン・サンズとイアン・ホルム、
そして、私が敬愛していた
「Jaws」のロイ・シャイダーなども出演しています。
豪華ですね。
●ウイリアム・バロウズ
私自身はバロウズに関してほとんど詳しくはありませんが、
多くの表現者に影響を与え、
いまでも与え続けている創作家、
と言えると思います。
1950年代のビートニク(Beatnik)」を代表し、
ハーバードに入学。
奥さんと「ウイリアムテル」ごっこをしていて、
誤って彼女を銃殺してしまったり、
指を詰めたり、
ヤク中になったりと、
嘘か本当かわからないけれど、
バロウズの人生そのものが、
私を含めた多くの人には「映画(フィクションの)」
のように見えるんじゃないかな。
バロウズの肉声を聴く機会がありました。
YMOキッズの私がずっと聴き続けている
YMOが、1990年代に再結成して出した
「X」(再生?蘇り?笑。とにかくジャケットに
筆文字のような「x」がついているんです)版に、
バロウズが「声」で参加していたからです。
私がバロウズの肉声を聞いたのは、
YMOの曲がはじめてです。
あきらかに「おじいさん声」では
ありますが、、
いまでいう「ラップ」のようでもあり、
ミニマルミュージックといえる
YMOの曲にしっかり乗っている
バロウズの声は
不思議なリズムを与えてくれます。