今日は、ビジネスの現場を約30年間見続ける私が学んだ、「人を直接、非難しないということ」について書いています。
昨日は下の記事を書きました。
●多くの人は、「非難されている」と感じると否定的な思いがします。あるいは不愉快な気分になって、非難した人間に対して悪い印象を抱くか、反撃に出る。
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ほとんどセミリタイア、あるいはリタイアしているような私ですが(大笑)、いろいろな面白いことに出会えたり世界的なビジネスの動向を知ることができるので、ときどきビジネスの現場に足を運んでいます。といっても満員電車に乗ったりはしませんが。
これまで百戦錬磨で現場を見てきました。新卒で入った東証一部上場の信託銀行にぺーぺーの銀行員として毎日、東京駅にある本社へ通い始めた日から私の社会人人生は始まりました。そして、ビジネスの現場で生かすことを目的とする実践的な学位、「経営管理修士号(MBA)」を母校青学のビジネススクールで取得した時点でいったん、私の社会人人生はすごろくの「あとひといき(ゴールが見えているような場所)」に到達したと思っています。
その私が長年、ビジネスの現場で、人間にさんざん揉まれながらも学んだことはたくさんあります。たぶん、人里離れた山にこもる宗教家よりも人間関係に揉まれた経験は私のほうが多いんじゃないかな。
人対人、ってとにかく軋轢(あつれき)だらけです。そしてもちろん、大きな感動もあります。ちなみに、「現場」は英語で「front-line」。そう、「現場」とは英語が指し示すように、「最前線(“front”の”line”)」の場なのです。
これからのこのブログではときおり、ビジネスの最前線で私が学んだことや人間関係のこと、見てきたすごい人や、起こっていることなどを取り上げて書いていこうと思います。
今日は手始めに、わりと多くの人、それもかなり高齢の人であっても知らない、「人間関係においては、人を非難してはうまくいかないことが多い」ということについて取り上げます。
部下の扱いや上司の態度になやむビジネスパーソンのお役に立てば・・・。
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人は他人から非難されるとまずは否定的な感情を抱きます。そしてある人は反撃します。それを反撃せずに、おおらかな気持ちで受け止められる人は、すでに聖人。笑
他人は自分ではないのですから、自分以外の人間にたいして、こうしてほしい、とか、ここがいやだ、とかありますよね。家族ですら、あります。
でも、それを直接相手に伝えては、おしまいなのです。たとえ自分が正論であっても。自分の要求どおりの言葉で。相手が大人であればなおさら。
「あなたのこういうところ、なおして」
「だめじゃない、こういうことしちゃ」
「もっと言い方考えろ」
「あなたってなになによね」
「こういうの、やめてくれない?」
「あなたはいったい、なにをかんがえて、こういうことをするのですか?」
→ 最後の太文字の「非難」は、私の友人が実際に、上司からぶつけられた言葉です。
私が話していることは、日常生活における人間関係のことです。刑法民法に触れる犯罪や訴訟などではなく、一般の人が他人に対して「なんとなくいやだな」と思うことを相手に直接伝えてしまう、というレベルの話。
ビジネスパーソンに限りません。私よりもうんと年上の、高齢者でもわりと非難がましく自分の意思を伝えることがあります。
その反対に、言っていることはしごくまっとうなことなのに、指摘された相手が反撃にでる場面。
「仕事をしに来ているのですから、おしゃべりはやめて、仕事しましょうよ」と言われた相手が、反撃に出て、言った相手以外の人間に対して、これみよがしに「どこどこへ行ったお土産よ。あげるわね」と土産物を渡したり。いじめです。
「これこれこういうやりかたはやめてほしい。アナタ、何考えてるの」と言われた相手が、翌日とつぜん退職したり。現場が忙しいさなかに。
自分が直接、非難されて平然としていられる人はほとんどいないと思います。もちろん、私だってそうです。たくさんのフォロワーがいるインフルエンサーのかたたちが、非難コメントがついても動画をアップしつづけている姿を見ると、「ほんとにすごい・・・」と尊敬します。
ビジネスは組織で動くことが多い。そして組織は人間からなりたっています。デキる、地頭パーソンになるためにも、他人を非難せずに自分の意思を伝えるためにはどうしたよいか。
これまで見てきた地頭力バツグンの人たちの例から考えてみます。
●批判を直接表現せずに、相手に自分が思う通りに動いてもらう方法。
人間は、コミュニケーションの8割以上を「非言語」の部分でしている、ということはよく言われることです。
言葉の額面ではなく、それ以外のこと。
「おめでとう」という言葉を例にとってみましょう。額面通りなら「相手を祝福している」という意味になります。でも、1)冷めた調子で、2)視線も合わせず、あさっての方向を見ながら、3)しかも、語尾の「う」の音がほとんどしていない(おめでと omedeto)場合、一般的な日本の人であれば、相手は嫉妬しているか、体調でも悪いのか、と勘繰ります。
額面通りに祝福の意を相手に(誤解のないように)伝えたいと思ったら、日本語なら「おめでとう~!(omedetoooooou)」と最後の「う」の部分が若干、伸ばし気味になる。それが、心をこめた調子に聴こえるから。最後の一文字まで丁寧にちゃんと、発音しようという意思が感じられるから。
人のコミュニケーションは社会が高コンテキストであればあるほど、「言葉の額面の意味」が薄れていく。日本社会における「言葉」がいい例です。
小山ケイ過去記事】「高コンテキスト社会vs. 低コンテキスト社会」
たとえば、上記の私の知人の例。
「仕事をしに来ているのですから、おしゃべりはやめて、仕事しましょうよ」。
彼女は自分よりも年上の、職歴も長い人にそう言ったのだそうです。それも、きっぱりと。彼女の潔さに私は感服するのと同時に、そういわれた相手は普通、そういう陰湿な反撃にでるだろうな、ということも理解できます。多くの人間がそういう行動に出るのを私はこれまでたくさん見てきたからです。
言うことはしごくまっとうなのに、敵をたくさん作る人がいる。
そして、直接的な非難は言っていないのに、よくよく考えると、ご自身の意思をちゃんと伝えて、相手に動いてもらっている人もいる。まわりに愛されながら。
★しごくまっとうなことをまっこうから指摘されると、人は陰湿な仕返しをするものである。相手に落ち度がないと自分でもどこかでわかっているから。自分が辱めをうけたように思っているのだと思う。無意識の領域で。とくに相手が自分よりも年下・目下であればなおさら。
★大勢の前で、赤っ恥をかかせるように相手を叱責・非難すると、相手は精神的に大きなダメージを受ける。
★ふだん、まったく褒めずに笑顔もみせずにプライベートな話すらしない人間が、非難するときだけは「しっかり」、向き合って正面切って非難してくると、相手はモチベーションが下がる(私の例です。そして、私は「言われた側」です)。
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地頭(じあたま)の良いデキる人は、自分の要求の伝え方が上手です。そして、自分が攻撃・反撃されても、かわしかたがうまい。柔道の「受け身技」のように。
私がこれまで見てきた、「地頭力100%」のすごい人たちの「技」をご紹介します。
1) 相手が「非難されている」と思わないで、逆に褒められているように感じさせる。
「●●さんのお話はいつも楽しいですね。なんでもご存じだし。これこれこういう仕事のやりかたがわからないので教えてもらえますか?」とことあるごとにたよりにする。おしゃべりしているひまがないほどに。
おだてたり、手のひらで転がしたり、木に登らせたり、は常套手段です。相手が単純であればあるほど。
+しかしながら、この方法は、相手が目上・年上の場合です。自分よりも年下・目下の場合は、仕事中に私語満載の相手に対しては権限を行使します。「仕事をしなさい」と。
地頭の良い人は、相手と自分の立場の力関係にも敏感です。人間関係に力関係があることを熟知しているから。「私のほうがこの組織に先に入った」「この町内では私が古株」といっては先輩面ふかせるのが人間です。国籍・人種に関係ない。某国で「最近来た移民は出ていけ」と言いだす人間がいるのは、人間の原始的な心理を露呈していると思います。「俺のほうが先だ」。
2) 相手の明らかな間違いも、正面切っては指摘しない。自分の間違い、ということもあり得るという余白を作る。
「私の知る限りですが、たぶん、こうこうこれこれというやりかただったと思いますよ」とあくまで、「自分のほうがまちがってるかもしれない」というニュアンスをもたせつつ、自分の主観的な考えとして述べる。「あなた、間違ってますよ」と指摘せずに。茶の湯を習っていたときに、先生の先生が他のかたに「指摘」されたやりかただそうです。
3) ミスを指摘するときはこっそりと、そして口調はやんわりと。
言いかたの達人がいます。たしかにミスを指摘されているのだけれど、彼・彼女にいわれるとまったく悪い気がしない。メンツもつぶされないので。
憎めない。要するに。
ちゃめっけたっぷりで笑顔とともに小声で指摘してきたり、けじめをつけるように、ちゃんと指摘してきたり。でも人前で大声で叱責されているわけではないから、こちらも「相手の言うとおりだ」と納得して、感謝することすらあります。
上記の私の知人の例でいれば、彼女は悪い人ではないのだけれど、ずばっと言ってしまうところがある。だから、相手によっては言い方にとげがあると思っている。「こわい人だよね」とうわさしている人もいるくらい。勘違いされやすくてもったいないな、とは思います。ひとりの友人として。裏表がなくて話しやすくて、可愛げと💛のある人だから。
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“【地頭のいいビジネスパーソン】直接、非難はしない。非難されて平常心を保てる人はまれです。” への5件の返信
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