【おすすめ映画】愛と哀しみのボレロ(1981年フランス映画)(Les Uns et les Autres)(その2)

今日の記事では、昨日の続きで
クロード・ルルーシュ監督による
「愛と哀しみのボレロ」について書いています。
昨日の記事は、以下のサイトからごらんいただけます。

●あらすじ

サントリーホール上手側客席

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4世代が第二次世界大戦に翻弄されながら

さまざまに生きていく姿を描いている

壮大な人間ドラマです。

前回も書いたように、

全編を貫くのは、

19世紀後半から20世紀前半にかけて

活躍した、フランスを代表する作曲家、

ラベルの「ボレロ」。

はじめのシーンはロシアの家族から始まります。

ボリス(ジョルジュ・ドン)は自分が参加する

ボリショイ劇場のオーディションで審査した

タティアナ(リタ・ポールブールド)

に一目ぼれし、のちに結婚。

そしてできた子どもセルゲイ(ジョルジュ・ドン2役)、

もバレエダンサーとして次第に頭角を現していきます。

*ラベルのボレロに重ねれば、

ピアニッシモで始まったスネアのリズムに、

フルートのソロが重なったあたり、

と言えるでしょうか。

そして、ドイツ・ベルリンでは、

ダニエル・オルブリフスキ演じる

若きピアニスト、カールが

その才能を認められ、

次第にドイツを代表する演奏者となり

ナチス親衛隊の目にも留まることとなります。

このことが戦後、アメリカで思いもよらぬ形で

非難されることになろうとは、

カールはこのとき露ほども知りません

(カラヤンも一時、同じようなことで

非難されていた時期があります)。

俳優でありながら、ピアノの才能もある

多彩なオルブリフスキでしか演じられない役

だと思い、いつも彼のこのシーン、

私はじーっと魅入ってしまいます(#^^#)

さて、フランスでは、

オーケストラに所属するシモンとアンヌが登場します。

(ロベール・オッセン、ニコール・ガルシア)。

二人は互いに好意を寄せ、結婚します。

そして第二次世界大戦が勃発。

ユダヤ人である二人は連行され、

収容所へ向かう列車へ乗せられます。

自身の運命を悟ったシモンは、

アンヌとの子どもである赤ん坊の命だけは

守ってやりたい、と

列車が停車中にすき間から線路へ

赤ん坊をそっとおろします。

泣きながら自身のリボンを赤ん坊に結び付けた

母のアンヌは戦後、収容所から生還し、

我が子の消息を何十年にもわたってたどり続ける

人生を送ることになります。

アメリカの家族。

ジェームズ・カーンとジェラルディン・チャップリンが

夫婦、兄妹のひとり2役で登場します。

米国の国民的な人気を誇る

Jazzのビッグバンドを率いるジャックは、

それまで中立を保っていた米国が、

日本の真珠湾攻撃を機に

正式に連合国軍として参戦したことを知り、

米国や世界の行く末を大きく案じます。

劇中でも、

それまで近所の雑貨店に暮らす

兄弟げんかの絶えない兄弟たちが

戦地で二人そろって戦死し、

両親が泣き崩れるシーンが

ほぼセリフなしで挿入されます。

これら4つの国の4家族のドラマが、

それまで群像劇にように映画の中で点在して

いたものが、しだいに一点に向かって

収斂していくことを観客は知ります。

劇中で戦後の企画として、

エッフェル塔付近でチャリティコンサートを

テレビ中継する話が進んでいくのですが、

この企画に対して、

4家族はなんらかの形で

参加することとなるのです。

●ジョルジュ・ドンの踊り

サントリーホール舞台そで。

ジョルジュ・ドンとモーリス・ベジャールによる

「ラベルのボレロ」。

お笑い芸人のかたでもよくご存じのかたは、

このパロディをやってます。(笑)

赤いちゃぶ台の上で、

ジョルジュ・ドンみたいに両手首をくっつけて、

足でカウントする踊り。

私自身はバレエは詳しくありませんが

(オケピ側の人間ですし・・・)

ジョルジュ・ドンのボレロを観ていると、

人間の体がここまで美しく曲線を描き、

ここまで高く跳躍し、

ここまでしなやかに体全体で

パーカッション楽器のように

リズムが刻めるものなのか、

と見惚れます。

均整のとれた体と甘いマスク、

ふんわり揺れる金色の髪の毛、

そしてもちろん表現力など、

技術だけではなく、

そのすべてがフォトジェニックで存在感があって、

だからこそこの映画で「俳優」として

出演されていても

何の違和感もないのだと思えます。

高校生のときに初めてこの映画を観た時、

私はジョルジュ・ドンという人は俳優であり、

俳優さんがバレエを踊っているのだ、

と思ったほどです(世界的なバレエダンサーだとは

当時、私は知らなかったので。こういうところも

この映画が少し、私には難解に思えた点です。

「どうして俳優さんがバレエを上手に踊ってるんだろう・・・??」)。

惜しくも若くして亡くなってしまいましたが、機会があればぜひ、彼の踊る映像だけでも観ていただきたいです。

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