翻訳者の能力その8ー「イタコする」Excellent translators comprehend almost everything, including clients’ mind (OMG).

鶴岡八幡宮

今日の記事では、母校の青学から単位をもって米国オレゴン大学へ編入学して卒業し、15年以上に渡って「サステナビリティ・ESG・気候変動」などに特化した専門翻訳会社を経営しながら再び青学(大学院)へ戻ってMBA(修士号)を取得した私・小山ケイが、長年のなりわいである「翻訳」をとりあげて、「良い翻訳者とは、疑う能力がある」ということについて書いています。

<もくじ>
●翻訳者の能力(その8)。翻訳者の能力その8ー「イタコする」Excellent translators comprehend almost everything (OMG). 
●翻訳者はどうやってその能力を養うか?How can you acquire the ability to be Whoopi’s role in “Ghost“?

 

このブログ「小山ケイ:Feel this precious moment」はいくつかのカテゴリーに分かれています。今日の記事は「徒然なるままに、ひぐらし。」のカテゴリーで書きました。同じカテゴリーの過去記事は下からご覧になれます。

●翻訳者の能力その8ー「イタコする」Excellent translators comprehend almost everything, including clients’ mind (OMG).

よこは

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このブログでときおり、「人として優れた人はイタコする能力がある」と私は書くことがあります。

すぐれた翻訳者もしかり。

イタコとは映画「ゴースト」で言えば、ウーピー・ゴールドバーグが演じた役割のようなものです。

本来の意味ではイタコは亡くなったかたの霊を呼び寄せたり、そのかたのかわりに気持ちを現世で生きるかたたちに伝えたり、現世に遺されたかたたちの気持ちを聴いたりする人たち。

 

それを私は、次のような能力を表す比喩として使います。

★人の心を読むことができる。

★人に感情移入できる。

★先を読むことができる。

★人が1言えば、10を瞬時に理解することができる。

横浜の工事現場

翻訳者でいえば、私が考えるイタコ能力は次の通り。

1) 書いた人の気持ちが分かる。

2) 書いた人に感情移入できる。

3) 書いた人の意図が分かる。

4) 書いた人がその言葉を用いた意図が分かる。

5) これから仕事で起こることが分かる。

6) クライアントの気持ちが分かる。

7) クライアントに感情移入できる。

8) (そして輪をかけて優れた人は)市場が読める。つまり、翻訳市場

 

●翻訳者はどうやってその能力を養うか?How can you acquire the ability to be Whoopi’s role in “Ghost“?

次のようなことをいつも考えているようにすると、次第にそれが習慣化していきます。

1) クライアントが依頼してくる詳細について考える。

◆時期(どうして今?)

→ 予算の消化、節税対策、市場が活況。

◆意図(どうして私に)?

→ 低い依頼フィーでいいから。あるいは、「指名買い(その分、フィーも高い)」

◆内容(どうしてこの内容?)

→ 世の中の流れ、国際会議。

◆金額(どうしてこの金額?)笑

→ エージェントがマージンを取っているから。あまり専門性が高くない案件だから。専門性がとても高い案件だから。

◆納期(どうしてこの納期?)

→ 前工程のしわよせ(笑)、成果物をすぐに利用する理由、どこかと競わせている(?)。

◆人数(どうしてアイツと・・・(冗談です。笑)→ どうしてあの人と?私独りでは不足?→翻訳者で誰かと組んで訳す、と言う案件はアウトソーシングではそれほど一般的ではないですが、大きな案件であれば何人かの翻訳者さんと組んで仕事をすることもあります)

 

2) その原稿を書いた人の気持ちや言葉遣いを把握する。素性すらも。

◆事前情報が得られるのであれば、依頼主に聞いてみる。

◆原稿内で使われる言葉遣いに注意する。→ 意図があれば、その意図も組んで翻訳する必要がある。

◆文体

→ これまでお受けしたなかで、ある米国大学の教授と学部生による論文を和訳するという案件がありました。やはりというか、なんとなくというか、それぞれの文体や使う言葉に、「知性」と「経験」の差が出ていたようにプロである私には思えました。そのことは、クライアントもなんとなく気づいていたようです。双方で「やはり」と一致。

3) そのまま何年もその分野で翻訳の仕事が続けられるかどうか。

◆普段からさまざまな市場の動きを把握する。

◆経済を把握する。

◆科学技術の動向を把握する。

◆ほかの翻訳者の動きを把握する。

◆自分の能力を把握する。

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