基本という「型」に忠実になることで、独自性が生まれる。

三井住友信託銀行

今日の記事は、昨日のつづきで
茶道の「守・破・離(しゅはり)」に基づいた話を書いています。
●基本とは、「守・破・離」の「守」である。それはつまり、「型」のこと。
●つらい新人生活。これも、「守」の部分。
昨日は次のような記事を書きました。

●基本とは、「守・破・離」の「守」である。それはつまり、「型」のこと。

大手町のビル

ものごとには「基本」があります。動画であればアクセスアップのための基本。SEO対策であれば、キーワード、PVの確認という基本。国際的な場であれば、英語でしゃべるという基本。(米国発祥のSNSはSEO対策としてもできれば英語が良い、という基本。笑)

アイドルになるにはいまや、歌はもちろん、ダンスも、基本。基本を守ることで、それを土台に、新たな視点や創造物が生まれてきます。世界的なアーティストたちも無名の若いころはたいてい、「基本」とするような先輩アーティストがいるものです。

そして基本とは、「型」のことです。茶道の「守・破・離」でいえば、「守」の部分。自分が師匠に選んだ先生の所作を教えられるままにひたすら、無心で覚えていく。

基本の習得をすっ飛ばして我流を推し進めようとする人をあらゆる分野で見かけますが、独りよがりであることが多い。

残念ながら。

語学しかり。ゴルフしかり。マラソンしかり。そして、表現の世界しかり。

基本という「守るべき型」には、たったいまそれをはじめたばかりの自分では生み出すことのできない、先達たちが試行錯誤して習得した経験や知恵、技術がたくさん、詰め込まれているのです。だから、型を無心で勉強するという方法は実は、我流よりも、より効率的でショートカットなやりかたなのです

●つらい新人生活。これも、「守」の部分。

大手町のビル
東京・大手町のビル群。撮影:小山ケイ。

ぺーぺーの新卒銀行員だったとき、私は毎日、会社へ行くのが、本当に、心の底から、ウ●コが出なくなるくらい、いやでいやで、しょうがなかったです。

100億円積まれても、一生勤めるつもりはない。それほどいやでした。

直属の先輩とどうも、うまが合わなかったことも大きい。(いまなら年の功でテキトーにあしらえるのにね。笑)

でも結果として、あのときの経験が、いまになって大きく生きています。社会人としての基本、つまり人間として人生を生きていく基本を勉強できたからです。

あの3年間は私にとって、「守・破・離」の「守」の時代でした。そうとうのたうちまわりましたが。

こまかいところでは、電話のとりかた、ビジネスパーソンとしての挨拶の仕方、お客様のお見送りの仕方、お茶の出し方、文章のかきかた、数字の書き方、人込みの多い街中で人をよけて早歩きできる技や、首都圏ではエスカレーターに乗ったら右側は急ぐ人のために開けておくこととか。

(東京駅の横須賀線エスカレーターで整然と左一列にずらりと並んで上昇していくラッシュアワーのあの美しさ!)

 ↑ 決まりがあるわけじゃないのにね。おもしろいね。

大きいところでは、会社員のかたの話もよく理解できます。組織のしくみも自分のこととしてイメージできるからです。いまになって、あのときの上司のひとりと知り合い、という人が現れたりもします。共通の知人ってやつですね。

金融組織の文化もよくわかります。とくに日本の。もちろん、金融やビジネスの専門用語も耳慣れている。

銀座ウエストの青山ガーデン

下働き、下積みがどういうことなのか、身に染みて経験しているので、新人さんや人に使われる立場の人の気持ちが手に取るように感じ取れます。いきなり会社作ってシャチョーになって人を使う立場にしかなったことがない人と比べると、私には経験値、という財産があるのです。

だから私は、そのあとの人生で、「破」と「離」を実践してきました。「守」という新人時代に身につけた「型」を利用しながら。MBAをとったのもそのひとつです。会社をつくったのもそう。

もうすぐ4月が終わります。新人さんが就職して1ヵ月がたちます。つらいことが多いかもしれませんが、それが資産になる日がやってきます。

もう少しの辛抱。

若いうちほど、お金では買えない資産を、まずはコツコツとつくってみて。お金はあとからついてくるから。

ね。