【企業分析】定量分析と定性分析

Hamamatsu-cho, Tokyo

企業分析について

金融の世界では、企業分析は通常、株式上場を果たしている企業を取り上げて、その企業の株価予想や業績予想、BSPLCF分析、過去の業績等を分析することで、株式売買を通してその企業への今後の投資を考える(あるいは株式の売却を考える)投資家に向けて、アナリストレポートを作成するために行われます。

投資家には個人投資家だけではなく、機関投資家と呼ばれる、金融機関に所属する投資家も含まれます。

アナリストレポート自体は、セルサイド、バイサイド、いずれからも発行されています。

よって、分析される企業は株式を公開している企業 (Listed companies)ということになります。

●ある性別に強い業界

10年以上まえに持続可能性(Sustainability/ESG/CSR)に特化した専門翻訳会社を設立するさらにまえ、私は新卒入社の正社員として信託銀行に数年間、勤務していました。

配属部署は、年金を株式や証券で運用する年金運用部。

上司たちは証券会社を通してファンドを日々運用するファンドマネジャー(Fund Managers)たちでした。

つまり、機関投資家たちです。

まだぺーぺーの若き新人だったころ、私は男性である彼らによく聞かれたものです。

「ねぇ、女性ファッション雑誌の●●って、どんな感じ?」

「化粧品の●●って、女性からみてどうなの?」

合同口ファンドを運用していた彼らが女性ファッション雑誌を有する雑誌社の株式や化粧品会社の株式を運用することもありましたが、彼らはそれらの直接的な消費者ではありません。

「実際に使っている消費者からみてどうなんだろか」

そう思ったのでしょう。

その生の声を聴くことで、売買(あるいはホールド)のいち判断材料にしていたのです。

彼らに尋ねられた日々はかなり遠い思い出ですが、

私はそのときの経験から、「ファンドマネジャーやアナリストにとって、消費者の生の声も参考になることがあるのかもしれない」とうすうす感じるようになりました。

企業の定量分析は出来たとしても、それを利用する消費者(end user)の気持ちを無視するわけにはいきません。

その企業の商品やサービスを実際に購入する消費者は、数字をみてその企業のものを利用しているわけではないからです。

そこにあるのは、感情、好み、印象、フィーリングなど数値ではなかなか表せない不可視のものです。

●定性分析の重要性

MBAをすでに取得したいまでは、それは定性分析には重要な素材のひとつであると分かります。

多くの起業家や能力開発に興味のあるかたたちに影響を与えたナポレオン・ヒル博士がその著書のなかで以下のようなことをつぶやいています。

「起業をするなら化粧品市場は無視できない。なぜなら、この市場には喜んで大枚をはたく女性たちがたくさんいるからである」

それを読んだ瞬間、私自身は「あらま。なんとも男性らしい発言だわ。自分が使ってないもんだから」と思いましたが、たしかに、ヒル博士がおっしゃるように化粧品市場は巨大です。

(上の発言を男性版にして、「起業をするならアダルト産業は無視できない。なぜなら、この市場には喜んで大枚はたく男性たちがたくさんいるからである」と言われたら、おぅ確かに、と素直にうなづける男性ってたくさんいるんでしょうか?笑

反発感じる人もいると思うんですが。

そう十把一絡げ、単純に扱われてもなぁ、と私などはヒル博士のくだんの発言個所を読んで反発したのでした)

いくら買ったか、価格帯はどうか、単価はどうか、などという数字で表される定量分析とあわせて、消費者の生の声、という言語化はできるけれどその他の「見える化」が難しいものは分析のさいにとても大切です。そこに、非言語の情報がたくさん含まれています。