今日は、多言語の中堅・大手翻訳会社がどんなサービスを提供することで収益構造を高めているか、について書いてみます。昨日は下の記事を書きました。
●多言語の通訳翻訳会社の多角経営化
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長年懇意にしている中堅の多言語通訳翻訳会社からメールをいただきました。コスト見直しのコンサル業もはじめたとのこと。困ったときの神頼みのようにしていろいろお願いしているところなので「どれどれ」と読んでみました。大手企業の業務ではかなりの翻訳通訳依頼コストが発生しているのでしょうか。
そのほかにも、某所で知り合った人が経営する会社では、さいきん語学アプリを提供しはじめたとのこと。どんどん新しい分野に進出しているのは本当にすごい。
でも、です。通訳翻訳会社とは無縁の多くのかたにとってはおそらく、「どこも同じような通訳翻訳を提供しているだけでは」「どんなことしてんだろう」とよくわからないのが正直なところでは?
私も上記の「コスト見直しコンサル」の詳細を読んだとき、「なんかさっぱりわけわからん」と思ってしまいました。笑 だから、大手の複雑な組織ではかなりの無駄なコストが発生しているという前提があってのコンサル業なんだろうか、と思ったわけです。
もうひとつのアプリのほうも、大手のアプリ(たとえばリクルートなど)に対抗できうる何かがあるのだろうか、とのぞき見するような気持ちです。
通訳翻訳会社がさまざまなサービスを提供し始める理由は、以下の3点があげられると思います。
1) AI機械翻訳通訳登場による業務の縮小
2) より利益率の高い収穫逓増型へ。
3) 将来性の高いITやAIへ。
コンサルやアプリは収穫逓増型のサービスです。翻訳通訳会社が請け負う業務は「ぽっきり」のストック型が多いけれど、コンサルは収益率が高いですし、アプリも定額課金であればフローのキャッシュが生まれます。中堅大手の通訳翻訳会社さんはさまざまに軸足をかえてるのだとつくづく思います。
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【私が想像する中堅・大手通訳翻訳会社さんの多角化経営内容と今後】
★コンサル業
★アプリで語学
★世界中にちらばる通訳者翻訳者のミンパク兼業。
★産学共同開発のAI通訳翻訳機械(ロボット)ほか。
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★コンサル業
コンサルタントが正社員であれば、人件費という固定費はこれまでとほぼ変わらずにサービスを提供できます。
メリット:通常の通訳翻訳業で支払っている個人事業主である通訳者や翻訳者へ支払う経費がなくなる(利益をすべて自社のものとすることができる)。
デメリット:認知度。外部企業にとってどれぐらい認知されるか。コンサルは「言うばっかりで自分ではやらない」というイメージが一般的(スマソ)。
★アプリで語学
一般市民がその使い勝手の良さを理解したことで爆発的に普及したスマホで提供できる。
メリット:エンドユーザー(BtoCのC)にかかわれるのでパイが広い。スマホ普及率と比例する可能性の高さが魅力。普及率が高まるほど、コストが減少していく。収穫逓増型。
デメリット:やはり認知度。さいしょは広告費をかけて認知度を高める(経費の発生)。
★世界にちらばる通訳者翻訳者のミンパク兼業
すっかりおなじみとなった世界のミンパクですが、通訳翻訳会社に登録する通訳者翻訳者は世界に散らばっています。これを利用しない手はない。笑
メリット:コストほぼゼロ。マージンを得るのみ。人材(通訳者翻訳者)もトップ人材であればこれまでの信頼構築がある。
デメリット:人材と「設備」の管理。ミンパクの問題点と同じです。
★産学共同開発のAI通訳翻訳機械(ロボット)ほか。
DHCは翻訳会社から創業しました。軸足を化粧品に移すことで、BtoCの大手企業になりました。
これからの通訳翻訳会社がDHCのような、認知度の高い企業へとなっていくためには、将来性のたかい分野への軸足のシフトが必要だと思います。ITやAI、あるいは宇宙関係とか。
最大手で「神」のサイマルが、「天下の」東大と産学協同開発で一般的な言語だけではなく、少数民族やかなりなまりのある方言も翻訳通訳する、というのはどうでしょうか。日本にもかなり耳慣れない方言があちこちに存在します。
世界中で仕事をしている大手商社や国連、国際機関、世界的な研究機関(たとえば、世界の少数民族の文化人類学的な研究をしている研究所)などで需要がかなりあると思うのですが。
●さて。では「うち」はどうするか?笑
持続可能性(サステナビリティ)や環境CSRに特化した専門翻訳会社として15年以上まえにスタートした「うち」は、これからどうしようと思っているのか。
プロフィール欄でも触れましたが、「動画」のほうにシフトしたいと思っています。将来性があるから。自分自身が動画が大好きだから。
SDGsと連呼するかたや団体がふえてきたのは良いとして、なんか持続可能性追求活動はライフワークとしてやりたいと思い始めています。SDGsと同列になりそうだから。笑
どんなことをしていても、「持続可能性(sustainability)」とは本来、だれでもが追求可能なシンプルなことです。表にしたり図にしたり計算式にしたりすると、どんどん高尚化してお役人化する。だから一般の人からはとおざかってしまう。
アカデミックですよね、SDGsって。大学で教えられていたり大学教授が活動にかかわっていたりする。
でも、動画は一般の人と目線が近い。BtoCになりやすい。自分個人で動画をアップする場合はCtoCです。
これまで私自身はBtoBの仕事をしてきました。それはそれでパイが大きいですしやりがいもあります。でも私のもうひとつのライフワークである「人の感情が感動を生む」ということはおこりづらいです。いい例が日本企業のAnnual Reportです。
しかも動画はYouTubeを観てもわかるように、活動は日本国内にとどまりません。デファクトスタンダードの世界言語である英語で制作すれば、世界中で理解される。このパワー本当にすごい、と日々つくづく感じます。
英語をあなどっちゃいけませんよ。笑
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