機械翻訳と人間翻訳(2) ーたとえば俳句。Do androids translate Japanese HAIKU perfectly?

Do androids translate Japanese HAIKU perfectly?

母校の青学から単位をもって米国オレゴン大学へ編入学して卒業し、15年以上に渡って「サステナビリティ・ESG・気候変動」などに特化した専門翻訳会社を経営しながら再び青学(大学院)へ戻ってMBA(修士号)を取得した私・小山ケイが、自身の長年の経験から「機械翻訳と人間翻訳の関係」について書いていきます。

<もくじ>
●機械翻訳と人間翻訳 (2) Do Androids translate Japanese HAIKU perfectly?
●人間にできること。「夢を見ること。電気羊の。いや、蛙(かわず)」の。Human can dream of electric sheep…No, KAWAZU frog. 

このブログ「小山ケイ:Feel this precious moment」はいくつかのカテゴリーに分かれています。今日の記記事は「徒然なるままにひぐらし。」のカテゴリーで書きました。同じカテゴリーの過去記事は下からご覧になれます。

●機械翻訳と人間翻訳 (2) Do Androids translate Japanese HAIKU perfectly?

先日の(1)の記事で私は、「機械翻訳と人間翻訳にはそれぞれ適している分野ややりかたがある」と書きました。

今日は私の経験から、「人間翻訳にできること」について書いてみようと思います。

********:

★行間を作る。

★ニュアンスを理解する。

★漢字を理解する

★それぞれの文化特有のこと。

たとえば、過去記事でもとりあげた、松尾芭蕉の「古池や 蛙(かわず)飛び込む水の音」の訳。

”「古池や蛙(かわず)飛び込む水の音」は”A frog jumps into an old pond”ではない。これでは「一匹のカエルが古い池に飛び込みます(ちゃんちゃん)」になってしまう。笑” ー小山ケイ本人の過去記事から引用。

“A frog jumps into an old pond”なら機械翻訳でも出来そうです。

でもこの俳句はそうではない。

しかも、カエル (KAELU = Frog) は「蛙」と書いて「かわず (KAWAZU)」と読む。

古い池も「古い池 (Old pond)」ではなく「古池(ふるいけ)(FULUIKE)」である。

「日本語勉強しましたー!」だけではなかなかこのあたりの漢字の読み方やその選択の理由、背景、ニュアンスは分からないと思います。外国人のかたやアメリカンスクールなどに子どものころから通ったかたなど。

【英語訳する際に必要なこと】

◆無駄をそぎ落とす日本の美意識への理解

◆芭蕉が生きた時代背景の把握

★芭蕉が生きた時代の漢字の読み方

◆俳句、そのものへの理解

◆芭蕉への理解(言葉遣いとか場合によっては性格や人物、履歴など)

◆「なぜ、芭蕉はこの句を詠んだのか」

◆「どこで、芭蕉はこの句を詠んだのか」

◆「いつ、なんどき、芭蕉はこの句を詠んだのか」

そのほか、もろもろ。

「アンドロイドは俳句を完璧に翻訳できるか?」と、フィリップKディック (Philip K Dick) みたいなことを思ってしまいました。

●人間にできること。「夢を見ること。電気羊の。いや、蛙(かわず)」の。Human can dream of electric sheep…No, KAWAZU frog. 

機械翻訳も上記の◆部分まで把握できるレベルになると、俳句の英語訳ができるようになるかもしれません。

けれど、今現在、機械は人を笑わすことはできない。

おそらく、夢もみません。

蛙(かわず)はおろか、電気羊の夢すらも。

→ ちなみに、アメリカの小説家、フィリップKディックによる「アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (Do Androids Dream of Electric Sheep?)は、映画「ブレードランナー (Blade Runner)」の原作です。

★★★★★Quoting from the official trailer of Wanner Bros’ “Blade Runner 2049” ワーナーの公式YouTube動画から。★★★★★

私、小山ケイが考える「人間翻訳者にできること」は次のようなこと。

【人間にできること】

◎下調べ

◎その訳もふさわしい漢字の読み方(あるいは、英語の読み方。スペル。発音など)

◎書かれていない「蛙(かわず)の色」まで表現すること。

◎書かれていない「その場の匂い、香り」まで表現すること。

◎書かれていない「その場の音、あるいは静けさ」まで表現すること。

◎夢にみるくらい、原本(元原稿や原作)を読み込むこと。

◎読み手にどんな印象をあたえるか、想像すること。