おすすめ映画【首(KUBI)】(北野武監督作品)

⚫︎おすすめ映画【首(KUBI)】(北野武監督作品)

北野武監督の映画です。舞台は戦国時代。「本能寺の変」へと向かい、明智光秀が討たれるまでの群像劇です。

「すべての人におすすめ」ではないけれど、北野監督作品がおおむね好きな方には監督らしいと思える作品です。本当は劇場に観に行きたかったのですが、都合で行けず、Netflixでの鑑賞となりました。

観終わって強烈に感じるのはひたすら、「ディストピア(Distopia)」。ジョージ・オーウェル(George Orwell))の「1984」のよう。

あの戦国時代がそうであったように、武将をとりまく社会はディストピアを体現していたのだわ、と改めて思います。

名目は「天下取り」。

けれど、何のための天下取りなのかは現代に生きる私(しかも、女)にはさっぱりわかりません。

裏切り

下剋上

騙し合い

そして、殺し合い

(天下を取った、と思ったらすぐに殺される)

役者さんたちも、理解不可能な人間たち(と、あえて言いたい)をよく具現化されたものだ、と感服しました。

ディストピア映画が私にカタルシスすら感じさせたのはひとえに、役者さんたちの力量と映像美、そして私が中学生のときから大好きな、たけしさん(ビートたけしとして)の「毒気」と「ブラックユーモア」でした。

For global folks:

“KUBI” actually sometimes means “head” of a human body in Japanese although literally and medically (?) refers to “Neck.” It also means “fired” as a metaphor, like “He was fired yesterday because of his poor achievement in his office. (KALE WA KINOU KUBI NI NARIMASHITA-TOSA (The end).”

⚫︎たけしさんのリズム感

ドラマーでパーカッショニストでもある私が「首」を観ていて感じたものは他に、リズム感です。

それはもしかしたらたけしさんがテレビなどでよくおっしゃる、「映画は因数分解」にも通じることかもしれません。

ご自身もタップをやってらして、数学も得意とのこと。それは画面の随所に散りばめられています。

トントントンと。

⭐️重複したり無駄な画面をつくらず、それらをカッコでくくってXでまとめる。→わかります?

⭐️秀吉が家康の草履を懐から池にボンっと投げ捨てるリズム感。→何コマかでカットしてるので、編集でそのリズムにしたのだと思います。このリズム感で放り出されるので、観ているほうは思わず笑います笑。

⭐️役者さんたちの表情や台詞回しで、次のシーンが「予測できる」→大泣きしていて実は「バカヤロウ」と舌を出してだます。あるいは、「首を取ったぞ!」としばらく喜ぶ(音楽用語で、「スラー」つきで)伸ばした音符の具合で、「あ、この人、自分が最初に他の人間にやったように、今度は殺されて手柄を横取りされる」のが分かる。

⭐️岸部一徳さんの京言葉による抑揚。→一徳さんご自身が関西ご出身でミュージシャン(GSタイガースの「サリー」ですから、、、)であることも大きいと思うのですが、セリフそのものもリズムがあるのだと思います。