⚫︎MBAに年齢制限はあるか?(ビジネススクール)
ひょんなことから、中年以降(シニアを含めて)になってから国内のビジネススクールにMBAをとりに行かれるかたが増えていることをネットで知りました。
私が取りに行った10年以上まえ、MBAのイメージは「30代前半」でした。
政府がリスキリングや「人生100年」などを後押ししていることも影響しているのだとか。
すでにMBAホルダーとなって、かつては銀行員だった私からみて、「MBAを取りに行く年齢制限、みたいなものはあるかどうか」ということについて、今日はかいてみようと思います。
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日本のビジネススクールのほとんどは、文科省では「専門職大学院」と呼ばれます。
私が卒業した青学のビジネススクールは、文科省的には「専門職大学院」と呼ばれています。
専門職ですから、専門性があるひとや、将来、専門性がある仕事につくであろう能力や経験を有した若いひとが入学してきます。
たとえば、私の学年や他の学年にはそれぞれの分野でこんなひとたちがいます。
財務→ 税理士、会計士、CPA、簿記一級保持者、証券アナリスト資格者、
マネジメント→ 会社経営者、起業家、経営部門(経営企画等)の役職者、
その他→ 弁護士、医者、Ph.D、翻訳者、通訳者、俳優、アスリート、官僚、
「2つめ、3つめのMasterです」という人も何人もいました。それも海外で取得している。
そして、こうした専門性のあるひとたちはその専門性を会社員として生かしていたりします。
中年以降のひとで、最終学位が「学士号である」というかたは、若い受験者以上に、「これ」というご自身の専門性やご経験を可視化(英語で言う”Tangible)”)することが求められると思います。なぜなら、たとえば会社員の役職者のかたであれば、その役職は相対的なものであって絶対的なものではない可能性があるからです。とくに日本企業の役職です。ご自身が所属する企業で「部長」をされているとしても、お医者さんや弁護士さんのように、国に認められた絶対的なものではありません。「うちの部長」が「あそこの部長」になれるかといったらそうではない。
言葉はきついと思いますが、国内といえどもちまたのカルチャースクールや自己啓発系のセミナーではない、という覚悟は必要だと思います。アカデミックな側面が大いにある、しかも大学院です。すでに修士号や博士号を取得しているひとも取りにくる。
結論から言うと、年齢制限はないとしても、年齢が高くなるほど受験者は受験に際して「ご自身の持てるもの(学位、国家資格、経験、能力など)」を面接官である教授たちに明確に分かる客観的な形にして見せる必要があると思います。なぜなら、若い人は経験が浅い分、のりしろが大きいため、中年以降の受験者と同じような「学位、役職、仕事内容」であれば、その若者のほうが合格しやすいことが考えられるからです。つまり、「将来性がある」ということ。
⚫︎可視化の例
⭐️転職経験→ 新卒入社した会社からキャリアアップの意味で転職しているか、または、日系だけでなく、外資も経験しているか。
⭐️高度な学位→ 学士入学して取得した学位(2つめ、3つめの学士号)、修士号、博士号、
⭐️日本で有名なスポーツの大会に出場、または指導者として学生を出場させている。→ 青学駅伝チームの原晋監督は、中年になって早稲田の大学院にスポーツ理論の修士号を取りにいかれました。
⭐️留学経験
⭐️異業種やその分野に疎い人にも分かる、大きなプロジェクトの成功経験
⚫︎現実的なこととして。体力や自尊心など。
MBAを取りに行くのはしんどいです。正直言って。
働きながらであればなおさら。
そして、何度も書いてますが、MBAコースではまず、全員が均(なら)されます。「いち学生」として。「だれそれさんは年齢も高いし経験もあるから私の助手のような存在です」などということはありえません。その分野の専門性がある場合はいたって客観的に、学位や職業資格、TOEICの点数などによって授業が免除されるだけ。
よって、体力の限界を感じたり、自尊心がズタズタにされたり、ということはわりと頻繁におこりえます。
それに耐え得るかどうか。
とくに、日本で有名な大企業に新卒入社したときから転職せずにずっと働いてらして、部長や役員などをしている中年以降のかたはどうか。
体力があり学ぶことに喜びや感謝すら感じられるようになったときにようやく、そのかたにとって「MBAを取るのに年齢制限はない」ということになるのだと思います。
チェックリストを作ってみました。
1 仕事を忘れて、「自分が知らない分野」の学問(授業)を興味を持って受講しているか?→ 再度、「MBAコースは全員をならすところから始まります」。
仕事にあまり関係なさそう、と思える分野の学問を苦痛に感じるのであれば、その時点でMBAではなく、ご自身の仕事に特化した別の学位やあるいは外部コンサルタントなどの力を借りて仕事を解決する、というような別の手段に切り替えるポイントかもしれません。
2他のクラスメイトとSNSやメールなどで深夜もやり取りできる体力があるか?
3 周りに頭を下げて教えてを乞うことができるか?→ 抵抗を感じたり屈辱や惨めな思いを感じたりしてないか?
4 「羨ましい」と思ったり粗探ししたりしてないか?→ 人間性にも通じますが、他人に嫉妬したり「相手にあって自分に欠けているもの(ネガティブな意味)」を探しては他人と自分の比較を始めたりした時点で、自分の成長は止まります。