オレゴン大学でみた親子の光景ーオレゴンの思い出。Mom and a boy in University of Oregon (my memory in UO as an international student from Japan)

Mom and a boy in University of Oregon

今日の記事では、母校の青学から単位をもって米国オレゴン大学へ編入学して卒業し、15年以上に渡って「サステナビリティ・ESG・気候変動」などに特化した専門翻訳会社を経営しながら再び青学(大学院)へ戻ってMBA(修士号)を取得した私・小山ケイが、米国オレゴン大学に留学していたときのの思い出について書いていきます。

<もくじ>
●レゴン大学でみた親子の光景ーオレゴンの思い出。Mom and a boy in University of Oregon (my memory in UO as an international student from Japan)
●母親の撮った行動。そしてしぐさ。

このブログ「小山ケイ:Feel this precious moment」はいくつかのカテゴリーに分かれています。今日の記記事は「留学の思い出 & Oregon」のカテゴリーで書きました。同じカテゴリーの過去記事は下からご覧になれます。

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●オレゴン大学でみた親子の光景ーオレゴンの思い出。

Stumptown Coffee Roasters

はるか大昔に米国オレゴン大学に正規留学していたころのことです。

その日の私は校内にある”School of Music” ー日本語で言えば「音楽学科」とでも訳すのでしょうかー の授業を受けるために、学科の校舎に向かっていました。

日が傾きかけた夕刻。

白い二階建ての木造仕立てで、古くとも趣(おもむき)ののある建物です。

建物の前には、たくさんの人がくつろげるくらいの大きな芝生の庭と舗装された道がひろがっています。

オレゴン大学は大学院生もいる大学です。

学生結婚したり社会人として家庭をもってからふたたび学業に戻ってきた人もいます。

地域のひとにも学校は開かれていました。

それゆえ、校内にはときおり幼い子をつれた母親や父親が親子で散歩していることもありました。

School of Musicの校舎に入ろうとする私が見かけたのは、小さな子二人をかかえたお母さんです。

片手にはベビー。

みなりはいたってカジュアルです。

雰囲気からするとなんとなく、近所の買い物からの帰り道みたいに見えます。

その後ろから歩いているのは、彼女の子どもとおぼしき男の子。

年にして4歳か5歳くらいでしょうか。

私からは少し離れていたので、二人が何について話していたのかはまったく聞き取れません。

聴き取れるのは、なにやら駄々をこねている男の子のわめき声です。

「なんとかかんとか!なんとかかんとか!」

なきながらそう、わめいています。

昔の私そっくり。大笑

飛び跳ねて、全身で自分の怒りを表現しています。

「ああ、ダダをこねてるのだわ」

男の子の声が大きかったからでしょうか、二人を景色の一部のようにしばらく私はながめていました。

●母親のとった行動。そしてしぐさ。

Oregon News

お母さんは男の子がすでに存在していなかのようにゆったりと歩き去っていきます。

動揺するでもなく、怒りを表すでもなく。

普段と変わらぬ歩き方で。

そう思わせるような穏やかさです。

一方の男の子も、大声でわめくことをやめようとしません。

ひとめもはばからずに飛びはねながら大声で泣くと、自分の要求が通ると思っているのでしょう。

こうなると消耗戦です。

多くの親なら「もう、やめてよ!恥ずかしいから」と根負けする。

あるいは、戻ってきて再度、しかりとばしたり口論したり。

私はこの親子の行く末をじっと見つめました。

お母さんの胆力に惹き付けられながら。

ところが。

そのお母さんはいっこうに戻ってこないのです。

それどころか、態度を変えずに歩き続けて、とうとうはるか遠くへ。

私はお母さんの胆力に感嘆しました。

「いつまでもそうやって泣いててごらん。自分がアホみるだけだから」

こうなると、男の子も泣き止まざるをえなくなります。

要求をつきつける相手が物理的に遠くへ行ってしまったのですから。

さっきまでのなきさけびがうそのように、ぴたりと泣き止んでしまいました。

文字通り、子どもだましがきかないことを男の子は知ったのでしょう。

泣き叫ぶ男の子の声が聞こえなくなってから数秒。

次の瞬間、はるか遠くですでにまめつぶのようになったお母さんが、ようやく振り返ります。

片手にベビー。

そして、もう片方の空いた手で、宙を大きくかき上げます。

ゆったりと、大きな円を下からえがくように。やさしい笑みとともに。

「さあ、こっちへおいで。もういいから」

無言でありながら、そのしぐさはお母さんの深い思いと忍耐を表していました。

「許してあげるから」

それを観た男の子。

うわぁ~ん、と甘えた鳴き声で泣き出しながら、猛ダッシュしました。

足元に飛び込んできた男の子をお母さんは一度、軽く包容します。

そうして親子はまた、仲良く歩き始めたのでした。

笑顔とともに。

あれから約30年たっても、あのときの一瞬の光景が私の脳裏に鮮明にやきついています。