今日の記事では、「音楽のある生活」と題して、「映画のなかで効果的に使われているクラシック音楽」について取り上げます。
このブログ「小山ケイ:Feel this precious moment」はいくつかのカテゴリーに分かれています。今日の記事はカテゴリー「徒然なるままにひぐらし。」です。前回は人生ドリルシリーズとして下の記事を書きました。
●予告通り、書きます。笑 「音楽のある生活。まずは映画で使われたクラシック音楽から」
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以前私はこのブログで、「いつか『映画やテレビドラマ、CMやバラエティなどで使われた既存の音楽についてご紹介してみますね」と書きました。そこで今日は、「映画で使われたクラシック音楽」について書いてみたいと思います。
音楽が好きな人はたくさんいます。それだけ音楽は影響力があるということなんだと思います。音楽が好きで映画が好きだと、その音楽が流れてきただけでその音楽が使われた映画のシーンが思い出されますよね。
私にはそういう音楽がたくさんあります。あまりにありすぎて記事が鬼スクロールになりますので(笑)、今日は私が小さいときにピアノ曲から入って学生時代は部活(オーケストラ部)で慣れ親しんだ、いまや私の生活からは切っても切り離せないクラシック音楽について書いてみます。
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私にとってクラシック音楽の使い方が上手だと思う映画監督は3人います。一人はイタリアの巨匠ヴィスコンティ監督、二人目はスタンリー・キューブリック監督、そして三人目は私の大好きなFFコッポラ監督です。
もちろん、ほかにもクラシック音楽に慣れ親しんでいる監督はおられると思いますが、私に強烈な印象を与えてくださるのがこのお三方ということ。黒澤明監督もラッシュのときはクラシック音楽を入れている、と聞いたことがあります。
●たとえばヴィスコンティ監督。
監督の映画ではクラシック音楽がよくつかわれています。たとえば、「夏の嵐」のブルックナー交響曲第7番や「ルートヴィッヒ」のワーグナーやオッフェンバック、シューマンなど。
★★★★★Berliner Philharmoniker with Sir Simon Rattle★★★★★
でもおそらく、監督作品で一番有名な「クラシック音楽との融合作品」は「ヴェニスに死す」の「マーラー5番(通称「マラ5」)」じゃないかなぁ、と私は思います。そして、私も大好きな作品です。曲も映画も。
穏やかで優雅なオケの音色に合わせて、ダーク・ヴォガード演じる初老の男が独り淋しく海辺で死んでいくラストシーンは、曲が美しいだけに薄化粧したひげや口紅が汗で薄汚く滲んでいく哀れさを皮肉なまでに浮き彫りにしています(男性の薄化粧はあの時代の文化だったと聞きました)。
若く健康的で美しい男の子と、彼に淡い恋心のような興味を抱いたまま死の病に侵されたうえに化粧が薄汚れていく初老の主人公との対比。そこにマーラーの曲が静かに重なります。ベニスの海辺の穏やかな波のように。
マーラーも「死の恐怖にとりつかれた作曲家」として知られた人(身内が何人も早死にしたこともあり)。なので、私にはマーラーの死の恐怖も重なって見えるのかもしれません。
「夏の嵐」で使われたブルックナー7番はクラシック音楽としてもおすすめです。マラ5と同じく、抒情的で穏やかな美しさをたたえた曲です。
●キューブリック監督
とにかくどのキューブリック監督作品もクラシック音楽がとても効果的に使われているように感じます。
「2001年宇宙の旅」ではヨハン・シュトラウスノの「美しく青きドナウ」から現代音楽家リゲティの「ルクス・エテルナ」まで、幅広い年代の音楽が流れます。
映画にあまり詳しくない方でも、リヒャルト・シュトラウスの「ツァラトーストラはかく語りき」はご存知なんじゃないかな。とにかくティンパニがおいしい曲です。笑 しょっぱなのホーンセクションによるファンファーレのような荘厳な始まりに続いて、ティンパニがソロで華々しく、力強く演奏されます。 バラエティやコマーシャルなどでもよくつかわれる曲ですね。昔、「ポンキッキ」でもかかっていた記憶が・・・。
★★★★★天下のベルリンフィル公式YouTubeサイトより。Quoting from the official YouTube Video of Berliner Philharmoniker’s★★★★★
Richard Straussの曲も好きですが、私が監督作品で一番好きなクラシック音楽のシーンはやっぱり、映画「Shining」のオープニングですね。ベルリオーズも使った、グレゴリオ聖歌の「怒りの日」がコロラド山中の空中撮影のシーンで流れます。
★★★★★こちらは、「シャイニング」の続編として原作者Stephen Kingが書いた小説「Doctor Sleep」の公式予告編です。途中で「怒りの日(Gregorian “Dies Irae”)」がテーマ曲のように挿入されています。Quoting from the official trailer of “Doctor Sleep” created by Warner Bros Entertainment for YouTube★★★★★
★★★★★Quoting from the official trailer of YouTube Movie’s★★★★★
まるで、この先に起こりうることを暗示するかのような不気味で終末のような雰囲気の曲です。
●Francis Ford Coppola
コッポラ監督の映画で映画好きに一番取り上げられるのはおそらく、「God Father」三部作だと思います。最終章であるPart IIIのラスト付近で使われるマスカーニ作曲の歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」は劇中劇の曲として効果を上げています。
映画の中ではアルパチーノの息子がイタリアのオペラ歌手という設定だったと私は記憶しているのですが、その彼がカバレリア・ルスティカーナに出演するオペラをアルパチーノ一家が観に行ったときに惨劇がおこります。
ネタバレなのであまり詳しくは書きませんが、一番有名な間奏曲(オケだけがオケピで演奏する曲)は当時女優として出演していたソフィア・コッポラが銃殺されるシーンにオーバーラップして挿入されます。バイオリンが旋律を奏でる抒情的な美しい曲であるがゆえに惨劇のすさまじさが観客に迫ってきます。真っ赤な血の色とともに。
だからこの映画やこの曲が好きっていう人が多いんじゃないかな。気持ち、すごくよくわかる。
★★★★★ゲルギエフ指揮によるウィーンフィルです。★★★★★
でも、です(笑)。私が監督作品で一番好きな作品は実は、「地獄の黙示録(Apocalypse Now)」。ベトナム戦争が題材です。それゆえ、あの映画の全編をつらぬいて底辺で低く流れているように感じるのは、映画のシーンで実際に出てくるヘリのホバリング音や人間の狂気、戦争のすさまじさ。
音楽でこういうの「Drone」といいます。曲中ずーっと低音が流れている。インドの古典音楽の手法がそうです。Beatlesも影響受けて、曲中に低音が流れているものがありますよね(あのドローンもブーンと低く流れるように飛んでるからそう命名されたのかな)。
私にとって全編を貫いて流れているように感じるもうひとつが、ロバート・デュバル演じる中佐がベトコンを威嚇・攻撃するときに大音響で流す、ワーグナーの歌劇「ワレキュール」なのです。あれは史実とのこと。金管楽器がド派手で勇ましく鳴り響くあんな曲を隊列組んだヘリに積んだスピーカーから大音響で流されたら、味方でも気がおかしくなりそうです。
★★★★★Quoting from the official YouTube video of Deutsche Grammophon★★★★★
マーロン・ブランドが芝居とは思えない重厚感と存在感を放っていますが、あの役も狂気、ヘリのスピーカーから流れるワーグナーの大音響も狂気、そして主人公であるマーチンシーンが次第に陥っていくのも狂気。
「God Father」がエンタメ作品としての華やかさを感じるのと比べて、「地獄の黙示録」はカンヌでパルムドールを取ったと聞いてなるほどと思える異次元の衝撃を与える作品。
そしてそこにはそれぞれ、クラシック音楽が映画音楽のようにして、あるいは効果音として利用されているのです。
音楽については書き出したらとまりません。笑 今日はこのくらいにしておきますね。
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“音楽のある生活。「クラシック音楽のある映画」” への11件の返信
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