「クラシック音楽のある映画」第2弾。「フィンランディア」と「主題と変奏」。

今日の記事は、数日前に書いた「クラシック音楽のある映画」の第2弾として書いています。

<もくじ>
●「クラシック音楽のある映画」第2弾
●ブラームス「主題と変奏」(恋人たち)
●シベリウス「フィンランディア」(ダイハード2)

このブログ「小山ケイ:Feel this precious moment」はいくつかのカテゴリーに分かれています。今日はカテゴリー「徒然なるままにひぐらし。」です。

[the_ad id=”11588″]

カテゴリー「徒然なるままにひぐらし。」はこの記事から始まっています。




●「クラシック音楽のある映画」第2弾。

[the_ad id=”11588″]

先日の記事では、「私が思うクラシック音楽の使い方が上手な巨匠3名」として私はヴィスコンティ監督、キューブリック監督、そしてコッポラ監督をあげました。

これらの監督作品はクラシック音楽がまるでオリジナルの映画曲であるかのように私には感じられるのです。そこに存在しているはずなのに観ているときはその存在に気づかない。よい映画音楽と同じです。よい映画音楽は存在感を消しています。

たとえばキューブリック監督の「シャイニング」。オープニングシーンでは冬のコロラド山中の細い山道をひたすら上っていく一台の車を空中撮影するところから始まります。ここで流れているのが、ベルリオーズも「幻想交響曲」で利用した、グレゴリオ聖歌の「怒りの日」。もちろん、原曲やベルリオーズの曲を知っている人ならあのシーンを見ながら「ああ、あの曲がかかってる」とわかるのでしょうが、知らないかたが聴いたら、なぜかは分からないけれど、この映画の「行く末が不気味な結末を迎えるのではないか」と感じるはずです。空中撮影したシーンだけならただ山道を走ってる車の映像が流れているという印象です。

コッポラ監督の「God Father III」マスカーニの「カバレリア・ルスティカーナ」が劇中劇のオペラ曲として使われています。だから映画を観ている観客も、「劇中劇の曲」のつもりではじめは聴いているのですが、それが次第に映画「God FatherIII」の惨劇のシーンとオーバーラップしていくので、物語に心奪われて曲の存在をいつしか忘れます。いい映画音楽だから。

学生オケ出身者でありクラシック音楽を(他の音楽と同じく)こよなく愛する私から今日は監督というよりも映画のほうに焦点をあてて、そこからクラシック音楽を見ていきたいと思います。

今日取り上げる曲は以下の通りです。

ブラームス「主題と変奏」(恋人たち)

シベリウス「フィンランディア」(ダイハード2)

 

●ブラームス「主題と変奏」(恋人たち)

ブラームスの曲は学生オケ時代も何度か演奏しました。青学の入学式や卒業式では「大学祝典序曲」が演奏されますが、この曲はブラームスの曲であり、演奏しているのは我ら青山学院管弦楽団(オーケストラ部)です。1833年から1897年まで生きたドイツを代表する作曲家です。

このブラームスの曲が使われていたのが、フランスのルイ・マル監督作品である「恋人たち」(1958年)でした。曲名は「主題と変奏(Theme and variation)」。いわゆる不倫を題材した映画作品なのですが、二人だけの秘め事という小さなテーマがさまざまに変わっていくようすはまさに、この曲の特徴と重なります。

わたしにとってブラームスのほとんどの曲は重厚感と荘厳な音の広がりが特徴だと思うのですが、「主題と変奏」に限ってはそれらとは違い、minorとmajorの曲調がそれぞれ数小節ごとに入れかわる叙情性とミニマルミュージックのような小さな主題が繰り返される高揚感すら感じられます。

白黒の画面のなかで若き日のジャンヌ・モローの陶器のような美しさや芯の強さが、ブラームスの曲によってさらに妖しい陰影を放つようです。

ルイ・マル作品同様に私の大好きな曲です。




●シベリウス「フィンランディア」(ダイハード2)

ひとむかしまえにハリウッドを席捲していた「Blockbuster」映画。その代表格のようなダイハードシリーズですが、ひとつひとつの作品をよく見ていくと役者さんがそろっていたり(名優ぞろい)脚本のひねりがうまいのに合わせて、音楽も実は上手に使われていることに気づきます。

1865年から1956年まで生きた、フィンランドを代表する作曲家であるシベリウスの「フィンランディア」。この曲がダイハードでは効果的に利用されています。ググってみると、監督のレニー・ハーリンがフィンランド出身ということもあったんですね。

とにかくティンパニがおいしい曲です。笑




ティンパニや金管楽器がフィンランドの氷で覆われた冷たい大地や帝政ロシアによる圧政によるひとびとの苦しみを表現しているかのような重々しさをともなって曲は始まります。

途中、「フィンランド賛歌」と呼ばれる、まるで雪で覆われたフィンランドの大地に暖かい春の日差しが差し込んでいるかのような穏やかで美しく静かな曲が入ります。この曲はキリスト教の讃美歌としても歌われている曲で、私はこの讃美歌のほうを先に耳にしていました。

重苦しい曲調から一転、後半部分からは華麗で勇ましく派手な曲調へと変わります。そこがダイハードのド派手なドンパチシーン大活劇を彷彿とさせる伏線の華麗な効果とマッチしているのだと思います。見ていて気持ちいい。

 

★★★★★2017年のBBC Promから。Quoting from the official YouTube video of BBC Prom★★★★★

そのほか、映画の中で使われていて私が好きなクラシック音楽には、

◆パッヘルベル「カノン」(普通の人々)

◆ヴィヴァルディ「四季」(普通の人々)

◆ラベル「ボレロ」(愛と哀しみのボレロ)

があります。こちらは以前、「おすすめ映画」のページで書きましたので、「映画の中のクラシック音楽」にご興味あるかたはぜひ、過去記事もごらんになってくださいね。

[the_ad id=”11588″]

[the_ad id=”11588″]

1年前のちょうど今日、この記事を書きました。