今日は私が英語のいち翻訳者として経験していることである、「日本語から英語に翻訳すると字数が増える!」について書いていきます。
昨日は下の記事を書きました。
●日本語から英語に翻訳すると、文字数、単語数、字数、とにかく増える。笑
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日本語から英語に翻訳するとき、私は海外の専門会社にネイティブチェックをネット経由で依頼しているのですが、長年やりとりしているなかでよく指摘されることがあります。
「なんとなく、言葉数がすごく多くて、まどろっこしい感じがします」
もちろんこれらの指摘は「英語」で言われます。
つまり、言葉数とは英語の単語数ということ。
私も15年以上にわたって日本語から英語に翻訳していると、日本語から英語に翻訳するとき、日本語の原稿を見ながら「こんなに情報を凝縮されても・・・」と思うことがあるのです。
これは、漢字の恩恵です。
漢字は、一文字で表してもぱっと見ですぐに意味が分かることが多い。
象形文字です。
米国人から「漢字はまるで絵みたいだよね」と言われたことがあります。そのとおりだと思います。
そして、その恩恵を最大限に利用しようとする人が出てくるのは当然だと思います。企業関係者たちです。これでもかー!というくらいに、とにかく漢字を駆使してご自身たちの言いたいことをまとめようとする。
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たとえば企業案内のパンフレット。
できうるかぎり漢字を使って情報量を凝縮するかたが多い。
だから、日本語で書かれた元原稿の枚数はたいして多くはないのに、それを英語に翻訳してみると、ものすごく言葉数が増えてしまうのです。
こちらも、舌足らずにならないように、そして書いたかたのおっしゃりたいことがちゃんと伝わるように、と注意深く仕事をしていくわけですが、そうすると、意訳でもしないかぎり、英語で言葉を補っていくことになる。
先日もお伝えしたように、英語の会話は日本語の会話と比べて「行間」がすくないので、どうしても言葉数が多くなる傾向にはあるのです。
すると、上記のとおり、「なんか言葉がものすごく多くてまどろっこしい感じ」と指摘をうける。
たとえば、こんなぐあいです。
「企画製造販売まで弊社一丸となって全国全世界に展開中の●●●は、全社各部門個々の社員にて独自計画立案実行による比類なき市場初登場の、お客様目線を大切にした顧客第一主義の提案型製品となっております」
すこし誇張が入っていますが(笑)、どうですか、どこかで聞いたことあるような漢字のオンパレードではないですか?
漢字を使うことで情報量を凝縮させよう、という企業のかたがたの意図はとてもわかります。
けれど、不思議なことに、こうした日本語を忠実に英訳すると、英語としてはまるで、「進もうとすると髪の毛を引っ張られるように」、なんとなく理解しづらい文章となってしまうのです。
あえて言葉数を減らさせていただかない限り。
通じない英語、とは言わないけれど、こういう点もビジネス英語とビジネス日本語の違いではないかな、とつくづく感じますね。
●漢字が入ると読みづらいときも。
私がネットの世界に飛び込んだのはすでに20年もまえ。
そのときも「板」やMLで言われていたのは、「漢字が入ると読みづらい」ということです。
ひらがなばかりでも小学生の文章のようで読みづらくはなるのですが、適度な漢字とひらがなの併用は速読できるのでほどよいスピードで情報が頭に入ってきやすい。
そういう文章は英語に翻訳したとしても、やはり日本語の読みやすさと同じくらい、読みやすい英文になります。おもしろいですね。
もし企業の担当者のかたが、「英文にしたときに読みやすいものにしたい」と思われるのであれば、日本語の文章そのものを「大和言葉」にしたり漢字をひらがなの言葉におきかえたりするとよいと思います。
私が米国大学に留学していたとき、韓国人の友人に教えてもらったのは、「韓国で漢字を使うひとはインテリ層とか知的な雰囲気のある人ってみなされるときがある」とのこと。
日本でもそうかもしれない、と私は彼らから話を聞いたとき思いました。
なんか、難しい漢字を使うと、物知りみたいにみえなくもないですよね。
その人が。
私などは小学生のとき、親から「漢字を使いなさい」と教えられました。
でもネットの世界に飛び込んで、「読みやすい文章」についてやりとりしてみて、ひらがなと漢字がほどよく混在していて、そして小難しいことをもったいぶったように書かない人の文章、がとても読みやすく、読まれやすく、そして共感が得られやすいのだとわかりました。
実は、翻訳者として英訳するときも、漢字のオンパレード文章を翻訳するのはものすごく疲れるのです。書かれたかたのお気持ちがわかることはわかるのですが、英語にするときは、たった一文字の漢字に込められた「たくさんの意味」をまずは自分の頭で日本語で拾い出してからでないと、まともな英語にすることはできません。
何段階も経て、翻訳することになる。
こういう意味も込められている、そしてこういう意味も、そういえばこういう意味も、とじっくり脳みそを使って考えて、そしてそれを英語にしてみたイメージを頭に思い描いてから「よし」とゴーサインだせると確信してから、ようやく英訳作業に取り掛かります。
書かれたご本人が英語に翻訳されるときにもしなにかひっかかるものをお感じになられているとしたら、もしかしたら日本語の文章をすこし平たく、漢字の少ない大和言葉に置き換えてみると、翻訳のしやすさが変わってくるかもしれません。
今日は長年、英語訳にかかわってきて、「徒然なるままに」感じたことを書いてみました。
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