今日の記事では、
私が10年以上にわたって通い続けた、南青山の伝説の珈琲店
「大坊珈琲店」について書いています。
次回の記事とPart1,2に分けて書きます。
<目次>
●伝説の名店「大坊珈琲店」とは
●さて。「3番」と「4番」
●私のコーヒー基準は大坊さん。
●主観で評価。
●復活!「大坊珈琲店」が246号線宮益坂にリオープン
私が10年以上にわたって通い続けた名店、「大坊珈琲店」が昨日、青山・宮益坂に復活いたしました!
と言っても、企画してくださった澁澤さんのおかげで、国道246号線に面したビルの一室を借りての、一日だけの大坊珈琲店です。
澁澤さんは約30年にわたって大坊珈琲店に通われた、大坊さんとは古くからの顔なじみのかたです。
大坊さんが出版された本にも寄稿されてらっしゃいます。
それまでも何度か、「大坊珈琲店の珈琲を飲む会」を企画してくださり、私は澁澤さんからメールをいただいて昨日、参加してまいりました。
●伝説の名店「大坊珈琲店」とは
さて、大坊珈琲店(Daibo Coffee House)。
「庶民の嗜好品」であるコーヒーを愛する多くのかたがたに愛された名店です。
いまや世界のコーヒーシーンを席巻するThird-wave coffeeにも影響を与えたといわれる大坊さんの大坊珈琲店は、南青山の表参道交差点付近にあった鉛筆ビル(横断歩道を挟んで、交番、みずほ銀行、西川布団があったあたり)の2階に入っていましたが、ビルが改装することに伴って2013年、惜しまれながら38年間の営業に幕を閉じました。
*余談ですが、私個人の考えとして、Third-wave coffeeの社会的な意義はやっぱり、その社会起業家精神 (Social entrepreneurship)だと思っています。
アフリカや中南米、アジアなどのコーヒー豆の生産者たちと直にやりとりして正規価格で購入したり品質向上のためにコラボレーションしたり。そしてインフラすらも無償で作ってコーヒー農園以外の地域住民にも提供しています。Fair Tradeのさらに一歩先に行った運動と言えます。
(私も日本版Third-wave coffee起業家になろう、と画策中。笑)
村上春樹さんや糸井重里さんをはじめ、小澤征爾さん、向田邦子さん、永六輔さんなどの著名なかたがたをも魅了した大坊さんの大坊珈琲店に私が通い始めたのはたしか、2001年の夏だったと記憶しています。
「今年のお盆は帰省するので休業します。よろしく」なんて大坊さんの手書きの張り紙が入り口付近の柱に小さく貼ってあって。
あのころの大坊さんは50をすこし過ぎたころ。
頭もまだゴマ塩でした。笑
え、いったいなにが!というぐらい真っ白ないまのような頭になられたのは、閉店の半年ぐらい前だったでしょうか。
ご本人も「突然白くなってしまって」とおっしゃるほど、本当に突然のことだったので、私もよく覚えています。
●大坊さんの「3番」と「4番」
昨日は新しい試みとのことで、1時間半の入れ替え制で計4回、各回10名限定でのこじんまりとした会となりました。
大坊さんとの距離がさらにぐっと縮まる、和やかな雰囲気の中で始まりました。
淹れていただくのは3番と4番。
これまた説明していると日が暮れそうなのですが(笑)、大坊珈琲店のメニュは番号制になっていて、珈琲豆のグラム数とお湯の分量によって、1番から5番に分かれています。
どれがどれ、という詳しいことについては、大坊さん珈琲店のご常連さんたち、ファンのかたたちがたくさんネットに載せてくださってますのでググってください~。
澁澤さんは「3番(薄いもの)」「4番(濃いもの)」と書いてらっしゃいます。
まずは3番。
私にとっては泪がでるほど懐かしい、大倉陶園のコーヒーカップが大坊さんの手前に用意されています。
お店で長年、出されていました。
当時は使われていないカップやソーサーは、ちょっと傾いた長い木製カウンターの向こう側にある大きな棚にしまわれていて。
カップをみていると、大坊さんのお店に通つづけた日々が走馬灯のように思い出されて鼻水もので胸が詰まります。
(2階へとあがる急で狭い階段、入口手前の奥様が生けられたお花、開くと鈴がチャリンと鳴る木製扉、開けたとたんに少し感じるタバコや葉巻の煙、マイルスやビル・エバンスなどのJazzの曲、カウンター内にいる大坊さんや従業員のかたと目があって、「いらっしゃいませ。こちらへどうぞ」とカウンターの空いた席に静かに案内される瞬間、木の板に掛かれたメニュを見ながら今日は何にしようかとわくわく迷っている時間、待っている時間、銀製のミルクピッチャーとシュガーポットを出していただく時間、他の方たちの分も含めて、カウンター内で大坊さんがネルドリップでコーヒーをゆっくり、淹れてらっしゃるひととき、そして、とにかく流れの悪い旧式水洗トイレ)
これ↑↑↑のせいでビルは取り壊されたのかも。そうだよね、やっぱ。
●私のコーヒー基準は大坊さん
大坊さんのコーヒーは私にとって、すべてのコーヒーの基準になっています。
「あ、この味、大坊さんのところに似ている」
「大坊さんのとこより酸味が強い」「苦みが強い」
「香りが大坊さんのとこよりまだまだだなぁ」
などなど。
それは私が大坊珈琲店へ10年以上にわたって通ううちに築かれた、私のコーヒースタンダードです(むっちゃ高いスタンダード)。
都内で一息つきたくて入ろうとした喫茶店やコーヒーラウンジで、「こんな淹れ方でこんなにするなら」とぐっとがまんして、大坊さんのところまで大回りして足を運んだことも何度かあります。
今日は大坊さんがゆっくりと、4名分ずつ3番コーヒーを淹れてくださっている間、澁澤さんがKeith Jarrettの「The Melody At Night With You」のCDを掛け始めてくださいました。
ここに来るついさっきまで私が聴いていた曲です(笑)。
さすが・・・のシンクロに心で大笑いつつ、大坊さんの所作を豊かな気持ちで眺めます。
室内には大坊珈琲店を象徴する、大坊さんによって丁寧にローストされた深煎りコーヒーの香ばしい香りが柔らかく漂ってきました。
このひとときという「場」のなかで、私もまわりのかたがたと一体になっていることが感じられます。
一期一会 (this precious moment, Ichigo-ichie)な瞬間です。
幸せ。
主観で評価(5★ = perfect)
(based on my objective taste lol)
酸味 (Sourness):★★★
甘味 (Sweetness):★★★★
まろやかさ (Mildness):★★★★★
苦み (Bitterness):★★
香り (Aroma):★★★★★
カップ (Cup and saucer):大倉陶園の青い縁取りのカップ。
Cup and saucer of Okura’s (Okura Art China Inc)
まだまだ続きます。続きはパート2へ。
(英語ブログ「Hello! World !(^^)!」カテゴリーでも詳細を掲載予定です。大坊さんの所作や茶道、日本文化などについて言及します。ご興味ありましたら、どうぞ)
*「大坊さん」「ほぼ日」と検索すると、「ほぼ日刊イトイ新聞」で大坊さんが糸井重里さんと対談されているページがでてきますよ。