●英語の語源を調べてみる。
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英語を上達させるためのひとつの方法として、「英語の語源を調べてみる」ということがあります。
それも、できれば徹底的に。
私も実践しています。といっても私の場合、興味の赴くままに調べていたらその言葉をよく理解していたということなのですが・・・。
プロの翻訳者としても「調べる」ことは私にとっては必須です。
たとえば昨日書いた、「Demon」。
英国人であるPeter Barakan氏によると「すごく日本語にしづらい」そうで、言われてみて私も「そうかもしれない」と少し調べてみました。
Demonはギリシャ神話を語源としています。神と人間の中間に位置する存在だそうで、日本でいえばイメージとしては、鬼子母神(サンスクリットでYakshaである夜叉)や阿修羅に近いような気がします。
あらゆるところに神が宿るとする「八百万(やおよろず)の神」信仰、アニミズム文化の日本には多神教のギリシャ神話を受け入れやすい土壌があると思うのですが、Demon自体は日本にはギリシャ神話からではなく英語から入ってきた、と考えるのが妥当だと思います。
英語は「悪と善」のようなキリスト教、とくにプロテスタントの二項対立的な概念を色濃く反映させています。
“Devil”が明確な「悪(悪魔)」であるのに対してDemonは、語源のギリシャ神話から「半人半神」として受け入れられたがゆえに、悪意性や意図性はあらずとも人の心の中に生まれる恐怖心や不安感、疑心など、個々人の心の中の葛藤を表す言葉となったように思います。
「悪」に分類されながらも誰の心にも存在する葛藤という抽象表現。
それも、ネガティブな心象。
“Demon”も明確に白黒(善悪)つける英語で考えれば「神」ではなく「悪」である。よって英語に受け入れられるさいに「悪」の部類に振り分けられた。
日本古来のアニミズム文化から言えば、Demonも神のはずです。鬼子母神や道祖神のように。
けれどこれは、英語圏の文化からすればグレーゾーン。
グレーゾーンなどありえない。
だから、「悪者のような神」というあいまいな存在ではなく「悪」として切り捨てられる。よってグレーゾーンも良しとする日本の言葉には適切な訳がないのかもしれません。
(カトリックはマリア信仰や大天使、守護聖人、あるいは土着の神々信仰との融合等、一神教であるキリスト教にありながらもさまざまな神やほぼ同位置の崇高なる存在をあがめています。カトリックは多神教に共通する要素が多分にある、と私は思います)
●”Matrimonial”
イタリアの巨匠、故フェリーニ監督の映画を観ていたときです。
主演のマルチェロ・マストロヤンニのセリフの中に聞き取れる単語がありました。
「Matrimonial」。
私はイタリア語はまったく話せません。
でもmatrimonialは知っています。なぜなら、英語でも”matrimonial(「結婚上の」「夫婦」)”というからです。
「Matrimonialってラテン語だったんだ」
大好きな故マルチェロ・マストロヤンニのひょうひょうとした表情を画面で眺めながら私はあらためて、「英語にはラテン語から借用(borrowed)した言葉がとても多い」ということを認識しました。
イタリア映画やフランス映画を観ていると、ところどころ聞き取れる単語がありますよ。
いずれの言語も私はまったく喋れませんが・・・。
フランス映画を観ていて、“Bizarre”だの“Expression”だのというセリフが聞き取れると、「英語とおんなじだ!」と嬉しくなります。
英語の語源をよく調べると、その調べる過程でさまざまなことを自分が感じたり学んだりしていきます。
そしてあとあと振り返ると、その言葉を自分がよく覚えていることに気づかれるはずです。
さまざまな角度から語源を調べる過程そのものが、その単語を記憶へ定着してくれているからです。
時間のある時はぜひ、ご自身の興味に沿って英単語の「語源」、じっくり調べてみてください。
Good luck!
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