⚫︎ラップandR&Bを歌う〈その3〉「食いつきを早く(小山ケイ)
私が青学のオーケストラ部に所属していたとき、担当する打楽器パートは音が他の楽器よりも何となく「早く」聴取に届くようなところがありました。
耳の錯覚なのか、演奏会場の作りによるものなのか、よくはわかりません。おそらくそれぞれの楽器には音の大きさがことなるようなところがあるのだと思います。当時の私は、あまりド派手に(?)音を鳴らすよりも、とにかく他のパート、とくにはるか遠くの前方にいるバイオリンパートの音をよく聞くようにしていた記憶があります。
音がどんどん前に行く。
前に行くということでは、こんな経験もしています。
OBの先輩にスネアを叩く私の音を聞いてもらったとき、「なんとなくパタパタ、と後ろに引きづられているような気がする。」よく出来る先輩に指摘されたので、とても新鮮でした。
「左手が利き手じゃないから、左のストロークが若干遅い感じ。右に合わせるように、しっかり刻みながら少し早めに打つことを意識してみたらどうだろう」
こうした経験から私は、「音には自分がわからない速度の違いがあるのだ」、ということに気づきました。
ラップやR&Bは食いつきをはやくしたほうが断然、かっこいい。
ドタドタ、パタパタ、とした印象をオーディエンスに与えるよりも、スピード感とかほどよい緩急を感じさせたほうが乗ってくれやすいし、オーディエンスもそのほうが心地よくなれるはずです。
技巧や技術で裏打ちしつつ、最後は気持ちでくいつく。かっこいい音を求めて。
⚫︎具体的な方法。小山ケイの考えと経験から。
1 基礎レン〈アップ)は最低限のライン。それをキープしつつ、少し早めに音に乗ることを意識してみる。ん
→ 青学駅伝チームも、ロードの「基礎レン」がしっかりしてるから、本番であんなにのびのび、元気に、飛ばしていけるのだと思います。
2 曲なり他のパートなり、「自分以外」の音を聞いてからではなく、「ここだ」という感覚に基づいたタイミングで音(歌)を出していく。聞いてからではワンテンポ、遅くなるので。
3 自分と曲をシンクロ(同期化)させたら、「自分が音を引っ張るくらいの勢いをイメージする。