【おすすめ映画】砂の女(1964年日本映画)(Woman in the Dunes)

今日の記事は、映画「砂の女」について書いています。
●映画「砂の女」
●安倍公房が言っていたこと
その他の映画については、以下のサイトからもご覧になれます。

●映画「砂の女」

マ・マンというタイトルの蜘蛛型オブジェです。

勅使河原宏監督による作品です。

原作は安倍公房。

そして脚本も安倍公房ご本人。

海外で評価の高い日本人作家のひとりが安倍公房ですが、私も米国オレゴン大学に留学中、安倍公房について、日本文学のクラスと映画関係のクラスとで学びました。

後者の「映画と音楽」では安倍公房の文学そのものではなく、勅使河原監督作品の映画のほうを教材にしたのですが・・・。

「砂の女」の音楽は、武満徹 (Toru Takemitsu)

言うことないですね。大家がそろってます。

カンヌ審査員特別賞受賞作品。

出演者やスタッフそれぞれの名前が印鑑(ハンコ)で表現されたオープニングも印象的です。

おおまかなあらすじは、主人公である「男」仁木順平が新種の昆虫を採取する目的で、ある砂丘を訪ねます。

そこで、勧められた民家に泊るのですが、それぞれの家は蟻地獄のような穴のなかに存在していて、日々押し寄せる砂を家のなかから描き出すことが強制的に義務付けられています。

物資は配給制で管理されているのです。

穴から地上に出る方法はただひとつ。

村人が上からおろしてくる縄はしごだけ。

男はこのはしごを外され、外に出る手段を失います。

必死に抵抗して脱出をこころみ、あるとき成功して地上に出ますが、やはり見つかってしまい、穴におろされます。

しだいに無気力感に襲われていく男。

そして・・・・。

セントアンドリュース スコットランド

会社や部署のやりかたに疑問を感じて意見を言い、必死に試行錯誤するけれど若いがゆえに誰からも賛同を得られず、それどころかさんざん叩かれパワハラを受け、結局、無難な事なかれ主義の会社員になっていく。

あるいは、自分のなかでなにかが違うと叫んでいるのに、もがけばもがくほどドツボにはまって八方ふさがりになって、動くことや希望を持つことそれ自体をやめてしまう。

仁木のような経験、私を含めて多くの人が多かれ少なかれ経験している。

そして、それが当たり前のこと、となることほど恐ろしいことはない。

原作もとても面白いので、小説がきらいじゃなければ、安倍公房先生が書いた本のほうもすごくおすすめしたいです。

●安倍公房が言っていたこと

安倍公房は、大家です。

その大家でも、

日本ではなかなか評価されなかった。

たしかNHKの番組だったと思うのですが、古い映像が放映されていたことがあって、それは安倍公房のインタビュー番組でした。

ちなみに、安倍公房は劇作家でもあります。

「最初に芝居を日本でやったとき、ぼろくそに批判された。

ところが、海外で同じものをやったら『良い』と評価された。

そのとたん、日本国内では手のひらをかえしたように、『安倍公房、良い』となった。

なんでそうなるのか。

舶来ものや海外での評価に弱いのが日本」というようなことをおっしゃっていたのです。

それを観た時私は、へぇ、安倍公房先生の時代からまったく変わってないんだなぁ、と思いました。

同じような経験を陶芸家のかたでおっしゃってらしたのをテレビで観たこともあります。

このブログの別カテゴリー「働きながらMBA」で私は書いたのですが、おそらく「他人からの評価があって自己がようやく存在・完結する」という人が日本に多いのも一因じゃないかな。

「自分」がMBAを取りたいのかどうか、ではなく、「他人はアナタのMBAをどう評価するのか。MBAを取ったアナタは相対的にどんな価値が生まれるのか」など。

なので、表現者であれば、国内でまともに評価されようと思ったら海外の評価を利用しない手はないですよ。笑

いまであれば、YouTube、Twitter、Instagram等、海外企業が最初にサービスを提供したものがSNSを含めてたくさんあります。

フォロワー数を天文学的な数字にしたり、もとK-1ファイターの須藤元気さんみたいに、YouTubeでたくさん、海外ファンを作っておいてから、「逆輸入ダンスユニット『World Order』」として世に知らしめてもいい。

須藤さんもおっしゃってるように、日本国内だけだと、「へぇ、もと格闘家の須藤がダンスやってんだ」と色眼鏡で見られて終わり、の可能性大です。

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