今日の記事では、母校の青学から単位をもって米国オレゴン大学へ編入学して卒業し、15年以上に渡って「サステナビリティ・ESG・気候変動」などに特化した専門翻訳会社を経営しながら再び青学(大学院)へ戻ってMBA(修士号)を取得した私・小山ケイが、日経新聞の記事「名ばかりESG」にインスピレーションを得て書いていきます。
(おかげさまで、一日に1,000PV前後読んでいただけるブログに成長しました。このブログを推奨してくださったかたもおられます。ありがとうございます!)
<もくじ>
●発展途上のESG投資。個人投資家はどうするか。ー 「名ばかりESG」日経新聞の記事よりインスピレーション(小山ケイ)。Improve ESG in Japan!
●「便乗銘柄(小山ケイ命名)」を見抜くために。
このブログ「小山ケイ:Feel this precious moment」はいくつかのカテゴリーに分かれています。今日の記事は「サステナビリティ・持続可能性」」のカテゴリーで書きました。同じカテゴリーの過去記事は下からご覧になれます。
(執筆や翻訳のご依頼は、郵送にてご連絡ください。107-0052 東京都港区赤坂5-5-9 1F MBE114 小山ケイ。eメールやSNSなどでのご依頼は現在、お受けしておりません)
●発展途上のESG投資。個人投資家はどうするか。ー 「名ばかりESG」日経新聞の記事より。
[the_ad_placement id=”%e8%a8%98%e4%ba%8b%e6%9c%80%e5%89%8d%e5%88%97″]
数日前の日経新聞に、「名ばかりのESG投資」と題して、ESGエディター松本裕子氏の記事が掲載されていて、興味深く読みました。
日経新聞電子版
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB03DL10T00C22A2000000
私が読んだ限り、問題点として指摘されていたのは2点。
1) ”ESG”と銘打ってはいるものの、その内実は不明。
2) 運用成績が一般アクティブファンドよりも劣る(2022年1月現在と2021年末時点の成績を平均・比較)。
「『名ばかり』ファンド(上記松本氏)」が増えた最大の原因として、氏はつぎのように述べています。
“運用会社が「ESGファンド」の線引きを緩くしたことが関係している。”ー日経新聞ESGエディター松本裕子氏の記事より引用。
氏はジャーナリストとして数字に基づいた記事を掲載していますが、サステナビリティの専門翻訳会社を長年にわたって経営している私としてはつぎのようなことをまっさきに思いました。
「よーするに、なんちゃってESGが増えたってこと」
***********************
「名ばかりファンド」の影響はおもに、1)のほうでしょう。
2)の「運用成績が一般アクティブファンドに劣り始めた」はESGだから劣ったということではない。
というか、もともと、一般アクティブファンドは宿命として「運用成績オンリー」で選ばれると言えなくもない。きっすいの(?)ESG銘柄と比べると。
松本氏の記事を読むと、
a) ESGファンドの運用成績が一般よりも下がったのは、ファンド内に割高さが嫌気されて売りが膨らんだハイテク銘柄が多数、含まれていたから。
b) ハイテク銘柄が多数含まれた理由は、「ESG統合 (ESG Integration)」と呼ばれる手法が主流となったから。
C) というのも、ハイテク銘柄の多くは運用成績が上がりやすく「利ザヤを稼ぎやすい」と思われているから。その反対にインフレの影響を受けやすい生活必需品や利ザヤの低い金融は2019年ごろから敬遠され始めた。
D) これまでのESGファンドであれば、C)のような銘柄は割合としては多くはなかったはずだが、「ESG統合」の手法を優先させたことで運用成績の良さで選ばれたハイテク株がシェアを占め始めた。
という図式(つまり、ファンドを組む機関の思惑)が浮かびます。
ちなみに、「ESG統合」とは、企業業績プラスESG要素も見ながらファンドを組むこと。
つまり、ハイブリット手法。
(ESG Integration = Hybrid technique)
「ESGファンド」と名乗りながらもなんらかのESG要素を含んでいる銘柄を組み込んだがゆえの「ESGファンドが一般アクティブファンドよりも下落率が高かった」ということなのだと私は松本氏の記事を読んで合点がいきました。
ひらたく表現すれば、「本当ならESGファンドじゃないのに、『うちはESGやってまーす』と言ってる企業の銘柄をそのまま鵜呑みにして組み込んでしまっているのがいまの世界的なESGファンド」。
個人が「ESGに投資したい」と思ったときに、金融機関が勧めるファンドに投資したけれど、その内実は「『なんちゃってESG銘柄』、つまり便乗銘柄が多く、実際にどのように社会や環境に投資資金が利用されているのか、まったく不明なものにお金をだしてしまった」ということになってしまいかねない昨今のESG投資です。
*******************
思えば。
私がサステナビリティに仕事として、そしてライフワークとして関わり始めた約20年ほどまえも、現在のESGに匹敵する「SRI」ファンドで同じようなことが取りざたされた記憶があります。
「どこがエコフレンドリー(環境保護活動に重点を置いていることも含めて)か分からない銘柄ばかり」。
環境保護を主目的とするサステナビリティ企業を起業したある社長がそう言っていたのを思い出します。
自動車会社
損保
大手建設会社
繊維会社
ブレーキ会社
などなど。
これらがなぜか、SRIファンドに好んで組み込まれている。
上記の松本氏は「2年前は、ESGのアクティブファンド(17.8%安)のほうが一般的なファンドの下げ幅(18.7%安)よりも下げ幅が小さかった」と指摘しています。
●「便乗銘柄(小山ケイ命名)」を見抜くために。
★パッシブであっても製品そのもの、サービスそのものが社会や環境に良い影響を与える、還元率が高いと思えるかどうか。
→ 松本氏によると、「いまや企業はなんらかのESG対応をしているもの。よって、それらをESGファンドとして組み込んでしまうことも可能」。
★「統合報告書」もいいが、「ESGに投資する」と個人投資家が思うのであれば、「環境報告書」「サステナビリティ報告書」などを中心に見てみる。その銘柄企業の活動を知るために。
★ESG投資はまだまだ発展途上。思い切って、あまたある企業をそれぞれ研究し、「これ!」という企業を自分の目で選んで株を買ってみる。ファンドになっている金融機関の商品ではなく。→ つまり、ファンドから「資金をひきあげる(不買運動)」。
自分が望む、「真のESG投資」を推進するために。
[the_ad_placement id=”%e8%a8%98%e4%ba%8b%e6%9c%80%e5%89%8d%e5%88%97″]